人狼ちゃんのあべこべ転移奇譚

後ろ向きミーさん

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お茶会に行ってみよう

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「隣の国の魔導士さんがきてるんですね。どんな方なんでしょう?」

ふわふわ広がる袖が面白くて、ついつい腕を大きく前後に振りながらお茶会に向かっている。
だから皆さん暖かい目で愛でないで。

「名はケネス。黒狂いで有名なシーア国の筆頭魔導士です。特徴は、髪に一房黒をお持ちとか。」

ふーん、以前ロベリアの話に出てた人か。

「黒狂いの国って何?物騒な響きだね。」


「シーアの国王は黒の伝承に関する収集癖が狂人じみているので有名です。
故に黒狂いのシーアと呼ばれています。
うちに『黒』の賢者が立ったったと聞いて自国に招きたいって書がバンバン届いいる様ですよ。・・シーア以外の国からも同様ですが。もちろん丁重に全てお断りしています。特に、シーアの場合は、夜空様が出向いたものの帰らせない何てこともあり得るので。翠の賢者の御耳に入れば逆鱗必須、王も必死です。」

やだ、なにそれ、監禁とか勘弁。

「でさ、ケネス様が古文書解読で来てるってのも、実際の所、夜空様見たさの口実なんじゃないってのが、もっぱらの噂。モテモテですねぇ夜空様。」

「そんな珍獣扱いでもてても、全然嬉しくないよ。そっか、王様にそんな気苦労かけてるのか。お詫びに甘い物でも差し入れようかな。」

甘い物って単語に、ポーカーフェイスのシキさんがピクリと反応する。

「今日ね、姫様に新作のおやつ持ってきたんだ。皆で一緒に緒に食べる・・は無理だろうから、二人の分は後で渡すから食べてね。」

「やった、夜空様のおやつ、毎回変わってて美味いから楽しみ。」

「お気遣いありがとうございます。私も楽しみです。」

おぅ、シキさんのふんわり微笑、レアです。こちらこそありがとう。

王城を抜けて、庭園へ。
ふぁあ、薔薇が見事ですねー。
芝の狩り込みといい、庭師さんの意気込みを感じるね。流石王家の御庭。
切り花もらえないかな。
ロベリア喜びそう。

待てよ?王城から出るのって、この間の藪を入れてもたったの2回では・・・。
転移陣と図書館の往復ばかりだったからなぁ。こんな素敵な庭園があるのに、もったいない事した。シキさんヒガさんいるんだし、これからは、もっといろんな所を見学させてもらおう。

あー、いたいた。
緑の庭園に、侍女ズの赤毛が目立ってる。これ、何て言うの、ガゼボだっけ。

「ようこそ夜空様。お待ちしておりました。」

今日の姫様は桜色のドレス。笑顔も輝く様に美しい。控えている侍女ズも誇らしげだ。

そう言えば、こっちって桜あるのかな?確認案件だね。

チューリップの花びらを伏せたみたい、重ねられたチュールがふっわっふわで、妖精さんみたい、うん可愛い、侍女ズいい仕事です。

「はい。本日はお招き頂き、ありがとうございます。御口汚しですが、僕の作った甘味をお持ちしました、お召し上がり下さい。山で取れた蜂蜜をたっぷり使った「カステラ」といいます。」

「まぁ、美しい山吹色。蜂蜜のなんて豊かに香り、ナイフを入れるのが、もったいないくらいですわね。」

流石王族、お上品な誉め言葉が淀みなく滑りますね。恐るべき7歳児。

「ふんわりして美味しいですよ。こちらは、侍女さん達の分です。ちゃんとご依頼の緑茶も持ってきましたよ。作れる量が限られているので少なくて申し訳ないんですが・・。」

「まぁ、ラナン達の分まで。お心遣い痛み入ります・・。」

うん上っ面ばかり上品なお茶会の図だなぁ。
このままの流れで進んでいきそう。
うーん、姫様も、そんなの求めてないと思うんだけどなー。ふむ、先手必勝でいくか。

「ねぇアイディーカ様。堅苦しいのやめよ。お友達なんだし、これからアイちゃんって呼んでいい?」

ハトが豆鉄砲食らったお顔になってますよ。
姫様としては不味いのでは・・。

「ア・・アイちゃんですか。う、嬉しいです。是非そうお呼びください!わっ!私もっ!ヨルちゃんてお呼びしていいですか!」

おぅ、思ったより嬉しそうに喰いつきて来た。
夜空のヨルちゃんかー、僕もうすぐ18なんだけどねー。まぁ10才位に間違えられる位だし、違和感はないのかなぁ。
なんか心中複雑だね、いろんな物を犠牲にしてる気がするよ・・。

「いいよ、アイちゃん。よろしくね。」

「はい!ヨルちゃん!」

花が咲き誇るご機嫌のアイちゃん、にっこにこの微笑で控える侍女ズ、笑いをこらえているヒガさん、シキさんは・・安定の無表情だね・・初めてのお茶会は、心地良い風のなか和気藹々と大変盛り上がりました。

保護者増員に続いて、妹みたいな可愛いお友達が出来ました。






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