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あっさり受け入れてもらえました
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その後、転移陣にて魔法使いの家に同行した僕は、思い切って人化してみた。
いつかは露見するだろうし、最初が肝心かなと思ったからだ。
結果、受け入れてもらえるどころか、狂喜乱舞される事となった。
「あぁ、人化まで出来るとは!双黒の上に、こんなに可愛らしいなんて!言葉は!話せますか?ハッ!いけません!こんな所に裸のまま床に座らせるなんて、体が冷えてしまいます!まずは風呂ですね!そうだ、君の服も用意しなければ!」
一言も返事をする暇も与えられず、さっきまで彼の着ていたローブにぐるぐる巻きにされ、お姫様抱っこされ、風呂場につれていかれた。
「・・お・・おろし・・て・自分で、歩け・・る・・。」
「声も可愛らしいですね!」
えー。どうしようこの人、にっこにこだよ。
攻防の末、自分一人でお風呂に入る権利をなんとか勝ち取った僕は湯船で惚けていた。
暖かい・・人化すると毛がないから。
お風呂なんていつぶりだろう。
「夜空。ここに着替えを置いておきますね。とりあえず私の物を使って下さい。ゆっくり温まるんですよ。あがったら、先ほどの部屋に戻っておいで。戻る道順はわかりますね」
「・・はい。」
完全に子ども扱いだな・・もう18になろうって歳なのに・・。
そろりとあがり、用意してもらった着替えをひろげる。
うーん、分かってはいたけど、なにもかもが、でかい。
これ着たら、俗に言う彼シャツになっちゃうね・・・ちょっと泣きたくなった。
「やはり大きかったね。明日にでも服を用意するから。お腹もすいたろう?私自身はあまり食事をする事が必要ないので、嗜好品としての甘い物しかなくて申し訳ないね。」
そう言って焼き菓子とホットミルクを用意してくれた。
うーん、年の事はいつ言おうかな・・・おいしいけど。
彼の名はロベリア。
『翠』の賢者と呼ばれる、それはそれは偉い人だった。
どこの国にも属さず、好き勝手生きているらしい。
王からの面倒な依頼を年に数回こなす事を条件に、今はこの国に腰を落ち着けているのだそうだ。
先ほどの盗賊討伐も依頼の一つだったらしい。
「君に会えたのですから、あの馬鹿の依頼も、偶には役にたちますね。」としみじみ言っていた。
国の王様を馬鹿扱い・・良いのだろうか・・。
「夜空と勝手に名づけ、連れてきてしまいましたが・・人型になれるという事は、本当の名も帰る場所もあるのではないですか?」
「・・名は無いです。帰る場所といっても、山でも獣化して一人で気の向くまま暮らしていましたし・・こだわりは無いです。夜空と言う名前は・・・うれしいです。」
本当の名はあるのかもしれない。
だが、物心ついた時には既に独りだったし、人の世で分類される為の名は、記号の様にしか思えなかった。
なのに、この名前はしっくりと僕の中に落ちてきた。
「気に入ってもらえて良かった。・・・では改めて。よろしく夜空。」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
賢者さんとの異世界生活が始まった。
いつかは露見するだろうし、最初が肝心かなと思ったからだ。
結果、受け入れてもらえるどころか、狂喜乱舞される事となった。
「あぁ、人化まで出来るとは!双黒の上に、こんなに可愛らしいなんて!言葉は!話せますか?ハッ!いけません!こんな所に裸のまま床に座らせるなんて、体が冷えてしまいます!まずは風呂ですね!そうだ、君の服も用意しなければ!」
一言も返事をする暇も与えられず、さっきまで彼の着ていたローブにぐるぐる巻きにされ、お姫様抱っこされ、風呂場につれていかれた。
「・・お・・おろし・・て・自分で、歩け・・る・・。」
「声も可愛らしいですね!」
えー。どうしようこの人、にっこにこだよ。
攻防の末、自分一人でお風呂に入る権利をなんとか勝ち取った僕は湯船で惚けていた。
暖かい・・人化すると毛がないから。
お風呂なんていつぶりだろう。
「夜空。ここに着替えを置いておきますね。とりあえず私の物を使って下さい。ゆっくり温まるんですよ。あがったら、先ほどの部屋に戻っておいで。戻る道順はわかりますね」
「・・はい。」
完全に子ども扱いだな・・もう18になろうって歳なのに・・。
そろりとあがり、用意してもらった着替えをひろげる。
うーん、分かってはいたけど、なにもかもが、でかい。
これ着たら、俗に言う彼シャツになっちゃうね・・・ちょっと泣きたくなった。
「やはり大きかったね。明日にでも服を用意するから。お腹もすいたろう?私自身はあまり食事をする事が必要ないので、嗜好品としての甘い物しかなくて申し訳ないね。」
そう言って焼き菓子とホットミルクを用意してくれた。
うーん、年の事はいつ言おうかな・・・おいしいけど。
彼の名はロベリア。
『翠』の賢者と呼ばれる、それはそれは偉い人だった。
どこの国にも属さず、好き勝手生きているらしい。
王からの面倒な依頼を年に数回こなす事を条件に、今はこの国に腰を落ち着けているのだそうだ。
先ほどの盗賊討伐も依頼の一つだったらしい。
「君に会えたのですから、あの馬鹿の依頼も、偶には役にたちますね。」としみじみ言っていた。
国の王様を馬鹿扱い・・良いのだろうか・・。
「夜空と勝手に名づけ、連れてきてしまいましたが・・人型になれるという事は、本当の名も帰る場所もあるのではないですか?」
「・・名は無いです。帰る場所といっても、山でも獣化して一人で気の向くまま暮らしていましたし・・こだわりは無いです。夜空と言う名前は・・・うれしいです。」
本当の名はあるのかもしれない。
だが、物心ついた時には既に独りだったし、人の世で分類される為の名は、記号の様にしか思えなかった。
なのに、この名前はしっくりと僕の中に落ちてきた。
「気に入ってもらえて良かった。・・・では改めて。よろしく夜空。」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
賢者さんとの異世界生活が始まった。
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