7 / 12
巣窟の主
しおりを挟む
さて、困った。
誘拐専門か、これは小知恵の回る頭がいるねかなり手際がいい。
思ったより大きい組織を引き当ててしまったかね。どうしたものか。
この部屋だけでも、私を含めて4人。
身なりからして商家のご息女。
離れた他の部屋にもいるね。
見張りはここに1人、屋敷内に今は7人か。
うむ、流石に腹が減ってきた。
私は子供は食べない主義なのだが・・。
ふるりと一瞬影が震える。
ご令嬢方は、めそめそ泣いてばかりだ。
これなら気付いた恐れはないね。
私もあまり子供を殺める事はしたくないし、助かるよ。
『主、只今戻りました』
一臣お使いご苦労だったね。
あぁどうも大物を釣り上げたみたいでね、子供もいるし思案していた所さ。
すまないが買い物は少し待っておくれ。
『・・お食事がまだでしたか・・』
そうなんだよ。あぁお腹がすいた。
『・・・』
ゆらゆら影が動いてる。
中から周りを伺っているようだね。
『・・ではこの子達を眠らせて下さい。私が露払いを致しますので、主はお好きな様にお召し上がり下さい。』
そうだね、そうしてもらおうか。
『何人ご所望ですか?』
では全てを。
口元で小さく眠りの魔法を唱える。
ご令嬢方の泣き声がなくなると、音が消えてしまったかのようだ。
こんなに静かな部屋だったか。
見張りの男は訝し気な表情を浮かべたが、泣き疲れて寝たと判断した様だ。
私の影内から、獣と見紛うばかりの動きで、一臣が低く飛び出してくる。
金色のオドが流れる様に舞い上がり、そのしなやかさに刹那見惚れた。
拳が腹にめり込み、見張りの男は一言も発する間も無く床へ崩れ落ちる。
その口元に血溜まりがジワリと広がった。
あぁ、これは内臓諸共砕けているね、まだ死んではいないけれど、確実に助からない。
「主。これでしたら獲物が暴れる心配もありません。どうでしょう?」
たった今荒事をおこしたと思えない程涼しい佇まいだ。
「うん。助かるよ。」
「では狩って参ります。しばしお待ちを。」
程無くして、息も絶え絶えの男共を引きずりながら一臣が戻って来る。
血の跡を気に留める事もしない。
喜々として贄を積み上げていく一臣の満足気な顔ったら。
思わず褒めてあげたくて手を伸ばしてしまったよ。
私が頭を撫でやすい様に膝をついて首を垂れる、出来た従者だね。
黒く艶やかな髪は指通りも心地良い。
「では買い物に参りましょう。」
一臣、耳と尻尾が出ているよ。
尻尾が、かつて見たこともない勢いで振られているけれど、そんなに買い物が嬉しいのかい?
ほんに私の狼は可愛いらしい。
誘拐専門か、これは小知恵の回る頭がいるねかなり手際がいい。
思ったより大きい組織を引き当ててしまったかね。どうしたものか。
この部屋だけでも、私を含めて4人。
身なりからして商家のご息女。
離れた他の部屋にもいるね。
見張りはここに1人、屋敷内に今は7人か。
うむ、流石に腹が減ってきた。
私は子供は食べない主義なのだが・・。
ふるりと一瞬影が震える。
ご令嬢方は、めそめそ泣いてばかりだ。
これなら気付いた恐れはないね。
私もあまり子供を殺める事はしたくないし、助かるよ。
『主、只今戻りました』
一臣お使いご苦労だったね。
あぁどうも大物を釣り上げたみたいでね、子供もいるし思案していた所さ。
すまないが買い物は少し待っておくれ。
『・・お食事がまだでしたか・・』
そうなんだよ。あぁお腹がすいた。
『・・・』
ゆらゆら影が動いてる。
中から周りを伺っているようだね。
『・・ではこの子達を眠らせて下さい。私が露払いを致しますので、主はお好きな様にお召し上がり下さい。』
そうだね、そうしてもらおうか。
『何人ご所望ですか?』
では全てを。
口元で小さく眠りの魔法を唱える。
ご令嬢方の泣き声がなくなると、音が消えてしまったかのようだ。
こんなに静かな部屋だったか。
見張りの男は訝し気な表情を浮かべたが、泣き疲れて寝たと判断した様だ。
私の影内から、獣と見紛うばかりの動きで、一臣が低く飛び出してくる。
金色のオドが流れる様に舞い上がり、そのしなやかさに刹那見惚れた。
拳が腹にめり込み、見張りの男は一言も発する間も無く床へ崩れ落ちる。
その口元に血溜まりがジワリと広がった。
あぁ、これは内臓諸共砕けているね、まだ死んではいないけれど、確実に助からない。
「主。これでしたら獲物が暴れる心配もありません。どうでしょう?」
たった今荒事をおこしたと思えない程涼しい佇まいだ。
「うん。助かるよ。」
「では狩って参ります。しばしお待ちを。」
程無くして、息も絶え絶えの男共を引きずりながら一臣が戻って来る。
血の跡を気に留める事もしない。
喜々として贄を積み上げていく一臣の満足気な顔ったら。
思わず褒めてあげたくて手を伸ばしてしまったよ。
私が頭を撫でやすい様に膝をついて首を垂れる、出来た従者だね。
黒く艶やかな髪は指通りも心地良い。
「では買い物に参りましょう。」
一臣、耳と尻尾が出ているよ。
尻尾が、かつて見たこともない勢いで振られているけれど、そんなに買い物が嬉しいのかい?
ほんに私の狼は可愛いらしい。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた!
どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。
そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?!
いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?!
会社員男性と、異世界獣人のお話。
※6話で完結します。さくっと読めます。
【完結】あなたに撫でられたい~イケメンDomと初めてのPLAY~
金色葵
BL
創作BL
Dom/Subユニバース
自分がSubなことを受けれられない受け入れたくない受けが、イケメンDomに出会い甘やかされてメロメロになる話
短編
約13,000字予定
人物設定が「好きになったイケメンは、とてつもなくハイスペックでとんでもなくドジっ子でした」と同じですが、全く違う時間軸なのでこちらだけで読めます。
獅子王と後宮の白虎
三国華子
BL
#2020男子後宮BL 参加作品
間違えて獅子王のハーレムに入ってしまった白虎のお話です。
オメガバースです。
受けがゴリマッチョから細マッチョに変化します。
ムーンライトノベルズ様にて先行公開しております。
独占欲強い系の同居人
狼蝶
BL
ある美醜逆転の世界。
その世界での底辺男子=リョウは学校の帰り、道に倒れていた美形な男=翔人を家に運び介抱する。
同居生活を始めることになった二人には、お互い恋心を抱きながらも相手を独占したい気持ちがあった。彼らはそんな気持ちに駆られながら、それぞれの生活を送っていく。
みなしご白虎が獣人異世界でしあわせになるまで
キザキ ケイ
BL
親を亡くしたアルビノの小さなトラは、異世界へ渡った────……
気がつくと知らない場所にいた真っ白な子トラのタビトは、子ライオンのレグルスと出会い、彼が「獣人」であることを知る。
獣人はケモノとヒト両方の姿を持っていて、でも獣人は恐ろしい人間とは違うらしい。
故郷に帰りたいけれど、方法が分からず途方に暮れるタビトは、レグルスとふれあい、傷ついた心を癒やされながら共に成長していく。
しかし、珍しい見た目のタビトを狙うものが現れて────?
社畜兎は優しいお猫様に甘やかされる
きよひ
BL
スパダリ美猫×頑張り屋な社畜兎
兎獣人のソーマは猫獣人の恋人であるセイの誕生日を祝いたい。
仕事で疲れきたソーマにいつも尽くしてくれるセイに、愛情を返したいのだ。
なんとか休みをもぎ取って、セイに素敵な1日をプレゼントしようとするソーマ。
でも「甘やかし」ではセイが一枚も二枚も上手で……。
とにかく甘々な2人のお話です。
※Rシーン、挿入無しは⭐︎有りは★が副題についています。
素敵なイラストは、天宮叶さんに書いていただきました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる