45 / 50
寝所の姫
しおりを挟む
雲一つない晴天、三連休の初日に相応しい絶好のお出掛け日和だ。
なのに・・・。
「今日、楽しみにしてたのに・・。」
思わず漏れた晶の呟き。
生徒会活動を詰めこみで頑張ったのが裏目にでたのか、当日になっていつもの症状を発症。
それはこの三連休を、寝所で過ごす羽目になるのを意味していた。
重度の倦怠感。
変体の弊害による症状だ。
以前よりも発症のでる頻度が減ったとは言え、よりによって今日だなんて。
美和達と共に駅前の流刻堂に行くのを、それはそれは楽しみにしていたのだ。
「宇治抹茶のティラミス・・丹波栗のモンブラ・・日田梨のタルト・・シャインマスカットの季節限定パフェぇぇ・・。」
「・・晶・・呪詛を吐くようにスイーツの名前を唸るな。ケーキ類は・・持ち帰りで美和に頼めばいいだろうが、パフェは無理だな。まぁ、まだ開催期間終了まで日にちがあるんだろ?」
「・・・皆でシェアしながら、ワイワイ
食べたかった・・・。」
「あー・・そうか。すまん。」
まるで幼子をあやす様に、漆黒の尻尾がぽすりぽすりと一定のリズム撫で叩かれる。
倦怠感で動けないだけで、意識はしっかりある晶の横には、巨躯の狼に獣化した夜彦が番犬よろしく添い寝をしていた。
この症状は、変体による体内の魔素の乱れが原因なのだが、獣化した夜彦が側にいればこうして無駄口を叩けるくらいに倦怠感が緩和される。
夜彦の魔素が膨大な為、側にいてもらえれは、幾分か安定するのだ。
だからといって、晶自身が『側にいて』とも一度も言った事もないし、夜彦も『側にいる』とも一度も言った事もない。
晶が寝込めば当然のごとく、獣化してのそりと寝所にやってくるのだ。
なのに・・・。
「今日、楽しみにしてたのに・・。」
思わず漏れた晶の呟き。
生徒会活動を詰めこみで頑張ったのが裏目にでたのか、当日になっていつもの症状を発症。
それはこの三連休を、寝所で過ごす羽目になるのを意味していた。
重度の倦怠感。
変体の弊害による症状だ。
以前よりも発症のでる頻度が減ったとは言え、よりによって今日だなんて。
美和達と共に駅前の流刻堂に行くのを、それはそれは楽しみにしていたのだ。
「宇治抹茶のティラミス・・丹波栗のモンブラ・・日田梨のタルト・・シャインマスカットの季節限定パフェぇぇ・・。」
「・・晶・・呪詛を吐くようにスイーツの名前を唸るな。ケーキ類は・・持ち帰りで美和に頼めばいいだろうが、パフェは無理だな。まぁ、まだ開催期間終了まで日にちがあるんだろ?」
「・・・皆でシェアしながら、ワイワイ
食べたかった・・・。」
「あー・・そうか。すまん。」
まるで幼子をあやす様に、漆黒の尻尾がぽすりぽすりと一定のリズム撫で叩かれる。
倦怠感で動けないだけで、意識はしっかりある晶の横には、巨躯の狼に獣化した夜彦が番犬よろしく添い寝をしていた。
この症状は、変体による体内の魔素の乱れが原因なのだが、獣化した夜彦が側にいればこうして無駄口を叩けるくらいに倦怠感が緩和される。
夜彦の魔素が膨大な為、側にいてもらえれは、幾分か安定するのだ。
だからといって、晶自身が『側にいて』とも一度も言った事もないし、夜彦も『側にいる』とも一度も言った事もない。
晶が寝込めば当然のごとく、獣化してのそりと寝所にやってくるのだ。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
朱音ゆうひ
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様
オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。
【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!
春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前!
さて、どうやって切り抜けようか?
(全6話で完結)
※一般的なざまぁではありません
※他サイト様にも掲載中
悪役令嬢は攻略対象者を早く卒業させたい
砂山一座
恋愛
公爵令嬢イザベラは学園の風紀委員として君臨している。
風紀委員の隠された役割とは、生徒の共通の敵として立ちふさがること。
イザベラの敵は男爵令嬢、王子、宰相の息子、騎士に、魔術師。
一人で立ち向かうには荷が重いと国から貸し出された魔族とともに、悪役令嬢を務めあげる。
強欲悪役令嬢ストーリー(笑)
二万字くらいで六話完結。完結まで毎日更新です。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる