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香り付け

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来た時と逆の手順を踏み、ゲートを通り退出すると同時に、体の纏わりついた幾重もの呪が、ふっと霧散するのがわかった。

・・本当に良く出来てるね。

学園を出た後までは深追いをしない所も潔いね。学園内の不審者対応に重きを置いた術だ。

百々も呪が鬱陶しかったのだろう、眉間に皺を寄せ、腕を払う仕草をしている。

御供の者は、不思議ような表情を浮かべている所を見ると、術式に気が付いていない様だね。
まぁ、あんな物騒な呪が付いていたなど、無駄に怖がらせる必要も無いだろうから、黙っておくがね。

「永遠様は大層ご機嫌のご様子。首尾よく美和様にお会い出来ましたか?」

「うん。香袋も渡す事も出来たよ。嬉しいねぇ。美和さんが私の香りを纏ってると思うと感無量だよ。ふふっ、これで今迄よりずっと楽に美和さんを追える。・・それにね私の香りを、いい香りって美和さん気に入ってくれたんだよ。」

「それは益々上々。ようございましたね永遠様。」

飄々と周囲を煙に巻き、寂寥な思いを見せない主がいつに無くはしゃぐ姿。
歓喜の為かいつもより主の気配が、くっくりと感じられる程濃い。

無表情が常の百々だか、これには思わず笑みがこぼれた。
御供の者達も主の気配を感じられ嬉しそうだ。妖気の弱い者は主を認識すら出来ないからな・・。

「そうそう、美和さんが店に来た時は、もてなしてね。」

「「「はい!お任せ下さい!」」」

「うん。よろしく。」

『他の者にも事を周知徹底させないと』『特別メニューを考えなければ』
『お好みを探るべく影を出すか』
『プランは10通り程検討すべきか』

・・・などと大変盛り上がっている様だが、我らが永遠様のお邪魔になる様な事になっては本末転倒。
皆の忠義は認めるが後で釘を刺し、諫めておかねばなるまいと百々は静かに思っていた。


「さて、早速美和さんの帰路を見守るとするかな。」

気配を探ると、美和さんはどうやら家路と反対方向に進んでいる様だ。
あらあら、寄り道の好きな子だね。
今日はどちらに足が進むのやら。
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