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お姫様

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― お姫様って本当にいるんだな ―

初めて二人を見た感想はそれだった。

ここはいつお城の庭園になったんだろうか?と言いたくなる雅な二人が、庶民の公園にいる・・・怖ろしい程の違和感。

親父と付き合う事になった人との初顔合わせは、弁当持参(親父作)の公園デート。
思い返してみると・・よくあの夜の女王様の様な煌びやかなミレーヌを連れて、真っ昼間の一般の公園に誘おうなんて思ったな・・と突っ込みたくなる。

なんだこの異様にキラキラしてる2人は・・・親父騙されてないだろうな?

公園に居合わせた他の家族連れなどが、チラチラ、ソワソワ、興味深々にこちらを伺っている。
まぁ・・そうなるよな。

「ミレーヌ。この子がうちの夜彦だよ。
こっちの子は環ちゃん、今日ちょっとお預かりしてるんだ。」

しかもデートに余所の家の子連れてくるか普通?・・相手に失礼にならないだろうかと、俺でもドキドキする。

「初めましてミレーヌよ。うちの晶。同い年なの、二人共仲良くしてやってね。うふふ、かわいいわぁ。要さんそっくりね。」

良かった。気を悪くしてないみたいだ。
俺はともかく・・親父には幸せになって欲しいんだ。

親父は、夜の店をやりながら、家事に育児に、ご近所付き合いにと、兎に角忙しく、当時5歳の俺でさえ心配になる程、身を粉にして働いていた。

ガタイは良い親父は、眼鏡属性のインテリやくざにしか見えないが、実は朗らかで性格で、頼られると断れないお人よしな人だと、最近やっと気が付いた。
本当に狼なのか?と疑う事ほどの穏やかさだ。

まぁ反面・・死んだ母親の方が破天荒で雄々しかったらしいから、釣り合いは取れてたのか?
母の数々の武勇伝は耳がタコになりそうな程店の常連客から聞かされ、正直心中複雑だった。

「ブランコ行こうぜ。環、晶。」

「・・うん・・。」

キラキラ光る晶が、俺の袖をちょいと引っ張りながら、もじもじしている。
小さくて可愛いな・・・いつも斜め上の発言の環とは大違いだぜ。

思えばこの頃から、俺はキラキラした綺麗な物に興味が出始めたんだ・・。
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