国立・八百万（やおよろず）学園にようこそ！

国立・八百万学園

国立・八百万やおよろず学園。

設立は今から十五年前。比較的新しく、異種混合の小中高一貫。

人と異種間の共生、共存を目的とした学園だ。
能力の違いから発生するであろう様々な問題を、子供たち自身で解決させ、より良い理解を深めようと言う理念があるらしい。

簡単に言えば、『異文化交流して、習うより慣れろ』の、体当たりな学校だ。

その結果、視野が広く、臨機応変に物事に対応できる逸材が育成されると、なかなか評判のよろしい人気校となっている。
入学基準はいたってシンプル。

一・特殊能力の有無に関わらず、犯罪や、過度な暴力行為を行わないこと
二・人間の実年齢に沿った『人型変化』が出来ること

たったこれだけ。

一はともかく、二の条件をそのまま受け取れば、かなり差別的に聞こえる。

そこは、施設のサイズや備品にかかる費用を、一般校と同じ予算で抑えたいといった、切実なる金銭問題から来る物。
なにせ国公立、税金だから。

市街地から離れ、少し奥まった山間にある学園専用の駅で降り、徒歩15分。
この駅、当然ながら、学園関係者以外利用される事は無い。

そんなへんぴな山奥に学園があるのは、
万が一生徒が暴走した場合、被害を最小限で食い止める事が出来るから（生徒にエ○ァでもいると、世間さまは思っているのだろうか？）。

有事に備え各専門の鎮圧チームが教職員の中に紛れている。
はたまた、表向きは学園だが、実はその地下に国家地鎮の秘密組織が暗躍している、などの数々の都市伝説がささやかれている。

詳しく知りたい方は『八百万学園』で検索をどうぞ。
なかなかどうして楽しめました。
　
学園では、生徒の実年齢、能力、属性等は、個人情報の為、一切公表されていない。
教職員は指導上、当然把握しているだろう。

では生徒同士はどうかと言うと、信頼関係を築いたうえで、本人より自己開示される事でしか知りようがない。
幼い頃から学園に通う環でさえ、当人が本気で隠そうとしているなら、判別はできないと言っていた。
　
中には、人より遥かに長い時間を生きる種族も当然いて、何度も学生生活を楽しんでいる物好きもいるらしい。
人だと思っていた先輩が、『授業で教えている歴史がね、時代で変化したり、嘘の歴史をだったり、突っ込みどころが満載で何度やっても飽きない』、と、こっそり打ち明け卒業していった、なんて話も伝えられている。

勉強嫌いの美和からすれば、信じられない話である。
　
まぁ、あけっぴろげな生徒が大半を占め、能力にちなんだ苗字を名乗っている事が多く、どんな特性を持っているのかは、容易に推測できる。

早い時間の登校の為、生徒はまばらだが、ごくごくありきたりな登校風景だ。
この中にも人型変化の生徒がいるかもしれないが。
美和にはさっぱりわからない。