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第四章 事件
歪み〜亀裂
しおりを挟む恋が高校2年生になると、非行はエスカレートした。
関口さんの引き留めも反発し、言うことを聞かなかった。
「恋ちゃん!今日も外出?ちょっと待って!」
「うっさいな!ほっといてよ!」
「ダメ!恋ちゃん!お願いだから」
「ほっとけってんだろうが!」
必死で引き止める関口さんを振り払い、今日も夜の世界へ向かった。
街に出ると、美紀たちと合流した。
「れーん!おっそいじゃん!」
「ごめーん!あの関口のばばぁがまた引き留めてさ」
「振り払ってきたんか?」
「もちもち♪」
派手な服装をして、街のアーケード街でたむろっている。
そこに遠くから数台のバイクの爆音が近づいてきた。
「恋!来たよ!澤先輩たちだよ」
暴走族をやっている澤という男。最近知り合って、なにかと恋たちとつるんでいる。
澤はバイクを降りて近づいてきた。
「よー美紀に恋!なにしてんのよ」
「澤先輩!お疲れ様でーす」
「今何しようか考えてました」
「そっかー!じゃあよ!ケツに乗って走るか?」
「やったー♪行きます」
恋は澤先輩のバイクの後ろに乗って、澤先輩の腰をぎゅっと掴んだ。
「しっかり捕まってろよ」
「はい!」
バイクはまた爆音を鳴らして街を走り廻った。
当然パトカーに追っかけられるが、それを振り切って走り廻った。
この時が一番、恋は日常を忘れられる時となった。
一方、施設には康二が来ていた。
康二は司法試験を突破し、晴れて弁護士事務所に就職していた。
「関口さん、恋は?」
「今日も出て行っちゃった…ごめんなさい。私の力不足で…恋ちゃんを…」
「いや、関口さんのせいじゃないです。俺の責任なんです。俺がもっと早く、恋の異変に気づいていれば」
「康二くん…恋ちゃんを…助けてあげて?」
「いつもあいつ、どこにいるんですか?」
「多分、S街で遊んでいるはず」
「わかりました」
康二は恋を探しにS街へ向かった。
康二は歩き回って恋を探した。
ちょうどゲームセンターの前を通った時、恋を見つけた。
康二が見た恋は、康二の知っている恋の姿ではなかった。
「恋?」
声を掛けるとハッとした顔で康二を見た。
「おにぃ…ちゃん」
小さな声で言った。
「なになに?恋のおにいさん?」
美紀が恋に向かって言った。
「確か弁護士先生でしたよね!ウケるんだけど」
「恋!帰ろう!こっちに来なさい!」
「やだよ!ほっといてよ!」
「恋!」
すると澤が横から出てきた。
「おい!嫌がってんだろうが!手ェ離せや」
「なんだ!お前は!邪魔するな!」
すると澤は康二の顔面を殴りつけた。
「ぐわ!」
康二は吹っ飛んだ。
「おいおい!恋は帰りたくないんだ。邪魔すんじゃね」
康二は立ち上がって、なおも恋をつかもうとした。
だが周りの奴らに取り押さえられ、恋に手は届かなかった。
「恋!目ぇさませ!まぁやんと龍弥になんて言えばいいんだよ!」
「いいんだよ!もう!どうでも!」
そう言って恋は遠くに歩いて行った。
「おい!そいつ、のしとけよ」
澤もそういうと恋の元に走って行った。
康二はそのあと、澤の仲間にボコボコにされた。
「おい恋、さっきあいつが言ってたまぁやんと龍弥って誰よ?」
「わたしの兄代わり。血の繋がりはないけど…」
「ふーん。なんかどっかで聞いたことある名前だけど…まぁいいや。恋、今日こそいいだろ?」
澤は恋の体に興味深々だった。
「ダメですよ!ちゃんと付き合ってからじゃないと」
「じゃあ付き合おうぜ」
「もう少し、考えさせてください」
「ちっ!ガードかてぇな!」
康二はボロボロになりながらも、一旦学園に戻ってきた。
「康二くん?!大丈夫!救急車…」
康二は救急車を呼ぼうとした関口さんを制止した。
「…大丈夫です。ちょい休めば大丈夫」
「どうしよう…恋ちゃん…どうすれば…」
「俺が全て悪いんです。自分の司法試験の勉強ばかりやってて、恋の事を気にかけてやれなかった。俺が全て…」
康二は涙を流して悔いた。
「ちょっと…俺一人じゃもう無理です。二人の兄に相談してみます」
「まぁやんと龍弥くん?」
「はい。あの2人なら恋もいう事聞いてくれるかも」
「うん。わかった」
☎︎「おう!康二!久しいな!どした。こんな時間に」
☎︎「まぁやん、ごめんな。忙しい時に」
☎︎「いやいや、大丈夫だ。それよりも司法試験受かったんだってな。おめでとう!」
☎︎「ありがとう…」
☎︎「元気ねぇな。どうかしたか?」
☎︎「実は…恋が…」
康二は事の詳細をまぁやんに伝えた。
☎︎「そっか…恋が…ねぇ…」
☎︎「俺。もうどうしていいかわからないんだ」
☎︎「それは俺にも原因がある。俺だってあいつとの約束破り続けてたし、あいつが一番いて欲しかった時にいてやれなかったからな」
☎︎「それは俺だって…」
☎︎「とにかくだ!お前はぜってーに恋をあきらめるな!いいか!」
☎︎「もちろん!」
☎︎「恋は俺らに任せろ!ぜってーに取り戻してやる」
☎︎「すまない…」
☎︎「何謝ってんだ。家族だろ?当然だろ!」
☎︎「うん…」
☎︎「まずは龍に連絡取って、近日中にそっちに帰るから。まずはそこからだな」
それからまぁやんと龍弥は連絡を取り合った。
その頃、恋は相変わらず美紀達と連んでいた。
その時、美紀の携帯が鳴った。
「あっ澤先輩だ」
☎︎「もしもし」
☎︎「おう美紀、俺だ」
☎︎「ちぃっす!どうしたんすか?」
☎︎「今よ、俺んちでパーティーやってんだ。こねぇか?」
☎︎「ちょっと待ってください」
「今、澤先輩んちでパーティーやってんだって?行く?」
恋は少し考えていたが、ほかのメンバーが
『行く行く!楽しそうじゃん』っというので承諾した。
☎︎「じゃあ今から6人で行きます」
☎︎「おっけー!待ってるぞ」
「よーし!行こうか!」
「イェーイ」
これがこれから起きる事件の発端となるなんて、この時は誰も思わなかった…
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