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番外編 生け贄の雄牛と可愛い僕
しおりを挟む カミの国にきて10年。
色々なことがあったけど、僕は毎日楽しく暮らしてる。
お仕事も大好きだし、ご飯も美味しい、お天気も良いし、あったかい。
──カミの国は最高!
このままずーっと、メガミさんと幸せに暮らすんだって思ってた……さっきまでは。
「羊くん、新しい生け贄の雄牛くんよ。仲良くしてあげてね」
メガミさんが、いつもの蕩けるような優しい笑顔でソイツを紹介した。
──大事件です!
僕はもう、解雇されちゃうの?
メガミさん、毎日「羊くん可愛い。大好きよ」っていってくれてたのに、あれは嘘だったの?
僕より頭一個分背が高くて、色が黒くて、ゴツゴツムキムキの大きな雄牛が、怖い顔で僕を見た。
かわいくない。ぜんっぜん、可愛くない!
僕の方が、ずーっと、ずーっと、可愛い!
僕の方が、可愛いんだからっ!
「人化したばかりで、慣れていないだろうから、色々教えてあげてね。羊くん」
メガミさんが雄牛を見たまま固まってた僕のほっぺに、ちゅっと唇をつける。
「わたくしは、用事があるので2日ほど戻れないけど、お留守番お願いね」
そう言うとメガミさんの身体がピカーッと光って、空の向こうに消えた。
「羊くん、俺はここで何をしたらいいんだ?」
「わぁっ! しゃ、しゃべった」
聞いたことないくらい低い声がして、飛び上がった。急にしゃべらないでっ!
ビックリするからっ!
意外と優しい声の雄牛は、跳び跳ねた僕を不思議そうに見ていた。
──見ていた。
見て……いつまで見てるの!?
怖いんだけど!
ま、まけないぞ。
僕も、いっぱい見るぞ!
見るぞ!
見るぞ……なんか全体的に土みたいな色。あ、畑に生えてるトマト、もう赤くなったかな?
食べても大丈夫かな?
──なんか、雄牛の顔もだんだんトマトみたいに赤くなってきた。何だろう?
「……かわいい……」
ぽそっと低い声がした。
「うん。僕、可愛いんだ」
なんだ。僕の方が可愛いって認めたんだ!
けっこうイイヤツじゃん。雄牛!
何となく雄牛とも、うまくやっていけそうな気がした。だって、僕を可愛いって言う人は、みんな僕に優しくしてくれるから。
だからきっと、大丈夫。
でも、お仕事は絶対に、譲らないからっ。
おしまい
色々なことがあったけど、僕は毎日楽しく暮らしてる。
お仕事も大好きだし、ご飯も美味しい、お天気も良いし、あったかい。
──カミの国は最高!
このままずーっと、メガミさんと幸せに暮らすんだって思ってた……さっきまでは。
「羊くん、新しい生け贄の雄牛くんよ。仲良くしてあげてね」
メガミさんが、いつもの蕩けるような優しい笑顔でソイツを紹介した。
──大事件です!
僕はもう、解雇されちゃうの?
メガミさん、毎日「羊くん可愛い。大好きよ」っていってくれてたのに、あれは嘘だったの?
僕より頭一個分背が高くて、色が黒くて、ゴツゴツムキムキの大きな雄牛が、怖い顔で僕を見た。
かわいくない。ぜんっぜん、可愛くない!
僕の方が、ずーっと、ずーっと、可愛い!
僕の方が、可愛いんだからっ!
「人化したばかりで、慣れていないだろうから、色々教えてあげてね。羊くん」
メガミさんが雄牛を見たまま固まってた僕のほっぺに、ちゅっと唇をつける。
「わたくしは、用事があるので2日ほど戻れないけど、お留守番お願いね」
そう言うとメガミさんの身体がピカーッと光って、空の向こうに消えた。
「羊くん、俺はここで何をしたらいいんだ?」
「わぁっ! しゃ、しゃべった」
聞いたことないくらい低い声がして、飛び上がった。急にしゃべらないでっ!
ビックリするからっ!
意外と優しい声の雄牛は、跳び跳ねた僕を不思議そうに見ていた。
──見ていた。
見て……いつまで見てるの!?
怖いんだけど!
ま、まけないぞ。
僕も、いっぱい見るぞ!
見るぞ!
見るぞ……なんか全体的に土みたいな色。あ、畑に生えてるトマト、もう赤くなったかな?
食べても大丈夫かな?
──なんか、雄牛の顔もだんだんトマトみたいに赤くなってきた。何だろう?
「……かわいい……」
ぽそっと低い声がした。
「うん。僕、可愛いんだ」
なんだ。僕の方が可愛いって認めたんだ!
けっこうイイヤツじゃん。雄牛!
何となく雄牛とも、うまくやっていけそうな気がした。だって、僕を可愛いって言う人は、みんな僕に優しくしてくれるから。
だからきっと、大丈夫。
でも、お仕事は絶対に、譲らないからっ。
おしまい
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