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Scene05 クレープ時々晴れ 

46 テオスへ招くもの

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「クレープ美味しかったね!」

由香が笑う。
嬉しそうに笑う。
ただそれだけで大輔は優しい気持ちになれた。

「そうだね」

「ところで君たちの関係は?」

吾郎がそう訪ねると由香が笑顔で答える。

「お友だち!」

「そっか、仲良しなんだね」

吾郎がそういって由香にオレンジジュースが入ったカップを渡した。

「うん!」

吾郎は優しい目で笑った。
大輔はこのとき違和感を感じた。
でも、些細なことだったので気にしないようにした。

それを遠くから眺めるふたり。

ハイジとユキ。

「あのちっちゃい子も入れるのかな?」

ユキが冷たい目で由香の方を見る。

「そうだな。
 あの子も闇を背負っている。
 深い深い闇を……な」

「そっか、じゃ助けてあげないとね」

ユキの目が優しくなる。

「ああ、闇を拭ってやらなければな。
 それがテオスだ」

「うん」

ユキの瞳が暗くなる。

「なんか最近のテオスって違うよな?」

ハイジがそういうとユキが答える。

「あんまりそういうこと言わないほうがいいよ。
 粛清されるから」

「ああ。そうだな。
 すまない」

「いいよ、だって私たち幼馴染じゃないの」

「そうだな」

「ところでさっきの歌はなに?」

「名もなきやつらに送る鎮魂歌だ」

「そっか。もっと聞かせて」

「ああ……そうだな」

ハイジは歌った。

「デスゲー♪デスゲー♪デスってけー♪
 馬鹿みたいに笑って!ハハってけ――」

「なんかロックな歌だね」

一通り歌いきったハイジにユキはいった。

「ああ、俺はパンクロッカーだからな」

「そうだね、震える」

「だろう?」

ハイジが笑う。
ユキはふと視線を感じた。
どこから?殺気がこもっている?
そんな気配を感じた。
気配を探る。
しかし、わからない。
どこだ?

「あー!あそこにハイジさんがいるよー!」

ひとりの男の子がそういった。
すると群がるように人が集まる。

「おっとヤバイな。
 人が集まりすぎだ」

「そうだね」

「じゃ、またな!ユキ!」

ハイジは、そういって駆け足でその場を去った。

「気配は消えた?」

ユキがそういってため息を付いた。

「なにもない……よね」

ユキはそうつぶやくとその場から離れた。
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