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翌年2月

2月4日③

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はるかさんは、俺を護るために自殺したのでしょうか?
杉山は、嬉しそうに事情聴取で福田さんに話していたそうです。
尾上さんにも、Haruさんを殺そうとしたことがバレそうになり、睡眠薬を飲ませ眠らせたあと車まで運び、練炭自殺に見せかけて殺そうとしたそうです。
この時の目撃証言が多数あり、杉山への逮捕に繋がったそうです。
そして、この目撃証言があったからこそ公安委員会が重い腰をあげて動き、杉山の逮捕に繋がったそうです。
杉山が逮捕されたことにより、尾上さんも安心して警察の事情聴取で答えることが出来ますね。
事件は、一応ひと段落……
全てを理解した訳じゃありません。
でも、事件は解決順調に進んでいるそうです。
そうして、俺は、ゆっくりと目を開ける。
今までの出来事が、全て夢だったらいいのに……
そんなことが、頭をよぎります。
だけど、現実はそんなに甘くないものです。
でも、それほど厳しくないのかも知れません。
あのはるかさんの温もりも現実で。
今は、無邪気に俺の隣で眠る由香さんの寝顔も現実。
世の中の全てが厳しい訳でもなく、世の中の全てが甘い訳でもない。
「あ、猫さん」
由香さんが、目を開ける。
「ん?どうした?」
「おはよう」
そう、由香さんと一緒に歩く未来なのなら……
少し厳しいくらいがちょうど良いのかもしれないです。
俺は、小さく笑います。
「な、なに?
 どうして笑ってるの?」
「ううん。
 なんでもないよ」
「えー。
 気になるー」
「由香さん」
「うん?」
由香さんは、首を傾げる。
「おはよう」
俺は、全ての現実を受け入れ……
笑顔で答えました。
すると由香さんが、笑顔で答えてくれます。
「おはよう」
ただそれだけで、俺は幸せになれるきがします。


-おわり-
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