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12月24日

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12月24日

今日は、クリスマスイブです。
そして、今日は夕方からはるかさんとデート。
朝は面接に行き、家に帰ると即シャワーを浴びました。
気づけば、時計の針は16時を指していました。
待ち合わせは、いつものマクドの前です。
今日こそは、俺の方が早く行ってやるんだ!
そう、思っていたけど……
はるかさんの方が先に待っていました。
「あ、猫さん早いね」
「はるかさんこそ……
 寒くなかったですか?」
「私は、平気だよー
ってか、猫さんの方が寒いでしょ?
はい、クリスマスプレゼント」
はるかさんは、そう言って紙袋をくれました。
中を見てみると赤い手袋が入っていました。
「あ……」
俺は、思わず声をあげてしまいました。
「どうしたの?」
はるかさんは、首を傾げました。
クリスマスプレゼントの存在を忘れていました。
どうしましょう。
「あ、あの……」
「私へのプレゼントは良いよ……
 お客さんからいっぱい貰ったし……
 猫さんがそれに対抗するとか言ったら私が困るもん」
はるかさんは、そう言って苦笑いを浮かべました。
「すみません」
なんか俺、情けないですね。
申し訳なさそうにしている俺を見たはるかさんは、ニッコリと笑うと俺の手を引っ張りました。
「ビブレの中に入ろう。
 それより買い物に付き合ってよ。
 それとも私の部屋でする?」
何をするんだろう……
なんとなく分かりますが、ここは聞かないことにしました。
こういうのも、幸せなんだって思ったからです。
「安いもので良ければ、俺が買いますよ」
「気にしなくて良いよー
 お金がない子からたかる気はないから……」
「あはは……」
俺は、笑って誤魔化しました。
「笑いごとじゃないよ?
 就職活動を頑張ろうよ」
「はい」
はるかさんは、ゆっくりと俺の腰に手を当てました。
「じゃ、ここでキスしようか?」
「え?」
「ねぇ、早く……」
俺が、はるかさんの顔に近づけようとした瞬間。
誰かに肩を叩かれました。
振り返ると見知らぬ若い男達が立っていました。
逃げれない。
そもそも逃げるべきなのかも分かりません。
ヤクザでしょうか?
「鍋猫と中島はるかだな?」
俺達は、頷いた。
「Haru殺人容疑の疑いで逮捕する」
何が起きたのかが、分かりません。
俺達はその男達に連れられ、パトカーに乗せられました。
俺もはるかさんも言葉を放つことすらできませんでした。
そして警察署に着くと、はるかさんとは別の部屋に入れられました。
「鍋!お前がやったんだろ?」
「やっていません」
そう、俺達は忘れていました。
Haruさんが、殺されたってことを……
若い警察官が机を叩く。
「証拠は全てあがっている!
 お前と中島はるかが共謀しHaruを殺した!
違うか?」
「証拠……
 見せて下さいよ!」
「あぁ?」
若い警察官は、俺を睨みつけると俺の頭を机の上に叩きつけました。
「証拠が見つかったと言うのは、はったりですか?」
「あぁ!!それがどうした!?
 警察をなめるな!」
そう言うと今度は、俺が座っている椅子を蹴り飛ばしました。
俺は、バランスを崩し転んでしまいました。
痛かったです。
個室の部屋から別の警官が入ってくる。
俺の姿を横目で見ると、ニヤリと笑い。
そして、さっきまで俺を殴っていた男に耳打ちをしました。
「お前、今日は帰っていいぞ?」
「は?」
「中島 はるかが、Haru殺人の容疑を認めた。
 お前を騙して容疑をお前になすりつけようとしていた事もな!」
「え……?」
「残念だったな!
さぁ、分かったのならとっとと帰れ!」
俺は、追い出されるように警察署から出て家に戻りました。
はるかさん……
大丈夫かな?
明日、会いに行ったら会わせてくれるかな??

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