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12月

12月11日

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12月11日

今日も、はるかさんの家にお呼ばれして一緒にお好み焼きを作りました。
はるかさんはビールを飲んでいましたが、俺はジュースを飲みました。
だって、お酒は飲めないんですもの。
はるかさんはお酒に強いそうです。
1枚のお好み焼きを食べるのに、缶ビール3缶も開けていました。
3缶も飲んでいるのにも全く酔った様子もなく、平然と4缶目を飲んでいました。
そして、5缶目を飲み干した後、顔を真っ赤にさせてこう言いました。
「猫さん、エッチしようか?」
「え?」
俺の思考は、止まりました。
「だから、エッチ」
はるかさんは、そう言って俺の隣に座りました。
「しませんよ……」
俺は少しだけ、はるかさんから距離を置く。
「つまんなーい」
「すみません……」
「酔った勢いで押し倒そうと思ったのに」
顔は笑っているけれど悲しげな眼をしている、はるかさん。
そんな、はるかさんを俺は抱きしめたくなりました。
 ヤメテオケ
心の中にいるもう1人の自分が囁く。
 うるさい。
俺は、心の中でもう1人の自分に言いました。
 オマエガフレレバカノジョハキズツクゾ?
 オマエハバケモノダ。
もう1人の自分のその言葉を聞いて心の中が、チクリと痛む。
 はるかさんは、そんな人じゃない!
俺は、心の中でそう叫びそして、はるかさんを抱きしめました。
「今の俺は、はるかさんを抱く事は出来ません。
 でも、抱きしめる事は出来ます!」
はるかさんを抱きしめると、心と体が少し暖かく感じました。
「今、抱いとかないと後悔するよー?」
はるかさんは、そう言って小さく笑いました。
「後悔すると思います。
 でも軽い気持ちで、はるかさんを抱きたくないんです!」
「そっか……」
「はい」
「猫さん。
 緊張してる?体が震えているよ?」
「緊張しますよ」
「心臓もバクバクしてるもんね。
 なんか、おかしいや……」
据え膳食わぬは男の恥って言いますが、据え膳食わぬも男もいてもいいですよね?
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