～マーメイド～

Scene08 デモニックになった日

121 LINE交換って勇気いるよね

「じゃ、ピノは……マーメイドじゃないってことですか？」

壱の言葉に総理大臣が言う。

「厳密に言えば不老不死の人間だよ」

「ピノの体の傷は？」

「ピノちゃんはね、テオスに捕まったあとひどい実験を繰り返されたんだ。
　施設は点々と移動させられ研究材料として扱われていた」

「その実験を繰り返していたのはマーマンですか？」

「いや、マーマンはピノちゃんの母上である比丘尼が作り上げた会社だよ。
　表向きは性犯罪を減らすという名目だが。
　裏ではピノちゃんを探すべく色々奔走しているのさ」

「でも、僕はマーマンに電話をしてピノを貰ったのですが……」

「それはこちらでは把握できていないんだ。
　君は、どうやってマーマンに電話したんだい？」

「Googleでネット検索して一番上にあるサイトから――
　って、あれ？もしかして……」

「そうだね、詐欺サイトに引っかかちゃったね。
　電話番号とか控えてないかな？」

「あ、スマホに入れてますよ？」

「ありがとう。
　LINEでその番号を送ってくれないかい？」

「あ。はい」

壱は手が震える。

なぜなら、総理大臣とかみさまとLINEを交換したからだ……

「では、壱くん。
　我が娘のブラマヨに修行を付けてもらいなさい」

おぢやビンゴがそう言うと壱は戸惑う。

「おぢやさんがやってくれるんじゃないのですか？」

「うむ、まずはブラマヨの弟子になって強くなりなさい」

「じゃ、ブラマヨちゃんともLINE交換やで！」

壱は未成年の女の子とのLINE交換をすることに戸惑いを感じたが親の了承のもとならいいかと思った。

といっても同世代の紫やノノとLINE交換しているためその迷いはすぐに消えた。