~マーメイド~

はらぺこおねこ。

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Scene08 デモニックになった日

104 さよならの静けさが染み渡る

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「出番なかったな」

ハイジが、到着したばかりの壱に言った。

「ハイジさん来てたのですか?」

「健康診断でな来てた」

「だったらどうして助けてくれなかったのですか?」

睨む壱に黙るハイジ。

「違うよ!壱!ハイジさんは助けられる側の立場だったの!」

「ピノ!まて、それは――」

「箱の中でキッコンカッコン」

ノノがリズミカルに歌う。

「それ以上は待てっくれ!言わないでくれ」

戸惑うハイジ。

「どういうこと?」

頭を捻る壱。
すると美智子が言う。

「あ、もしかしてMRI検査ですか?」

「……」

黙るハイジ。

「正解!正解!大正解!」

踊り舞うピノとノノ。

「やった!」

喜ぶ美智子。

「あの、ごめんなさい」

壱が謝る。

「今度、飯を奢らさせろよ?」

ハイジの言葉に壱が疑問をぶつける。

「ここは『奢れよ』じゃないの?」

「は?俺は仮にもピノとノノに助けられたんだぜ?
 拘束され動けない俺を機械から出してくれて――
 って、あれ?どうしてMRIの動かし方知ってるんだ?」

ハイジはノノの方を見る。

「ノノの力はサーチなの!
 見たものの扱い方と調べ方はすべてわかるの!
 ちなみに美智子さんの今日のパンツの色は黄色なの!」

ノノは得意げに言った。

「正解です」

美智子は照れることもなく答えた。

「……」

壱の方が照れていた。

「ノノさん、戦闘能力を磨きウチで働きませんか?」

美智子がノノをスカウトする。

「ノノは強いのよ?」

ノノがノリノリでダンスする。

「じゃ、僕に一撃を浴びせたら――」

壱がそういいかけたとき。
激痛が走る。

「焼き肉食べ放題なの」

ノノはそう言って小さく笑った。

うずくまりもがく壱。

「ぴょんぴょんしろ!
 ぴょんぴょん!」

ハイジがそういうとノノが言う。

「無駄なの。
 下からではなく横から殴り。
 なおかつ急所を狙い秘孔もついたの。
 夜の方はもうお盛ん間違いないの!」

ノノがそういうとハイジが言う。

「マジでか?
 使えるのか?凄く痛そうだぞ?」

「早くピノを抱くのだ!」

「ピノー
 ピノの痛いの痛いの飛んでけ―って魔法で何処かに飛ばしてー」

壱が涙目で言う。

「えっと直接触らないと駄目なんだけど良いの?」

「え?」

「じゃー、せーのでぺろりんこしちゃうね」

「せーのー」

「ピノー!!!
 ノーーーーーー!!!!!」

壱の眼の前が真っ暗になった。
人生が終わる。

人生にさよならを告げる静かな言葉が心に染み渡った。
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