～マーメイド～

Scene08 デモニックになった日

100 ミリオンとミニオンっていい間違うよね

それから1時間。
斎藤デザイン警備会社への電話が鳴り止まない。

「なにあれ？貴方のところのスタッフはみんなあんな感じなの？
　ぜひ、我が社でも警備を！」

壱の会社に仕事の依頼が殺到する。
エルフへの恐怖。
それらがそうさせた。

「凄い！壱がスマホに写ってる！」

ピノが驚いている。

「ってか、ノノ。
　壱さんを落とせば玉の輿？」

ノノが壱に色仕掛けを仕掛けようとする。

「ダメ！壱の童貞はピノの！」

ピノが頬を膨らませる。

「じゃ、童貞の次は？
　貰っていい？」

「童貞の次？」

「うん」

「うーん！
　いいかな？」

「いいんかい！」

そういって美智子が現れる。

「美智子さん！」

ピノが嬉しそうに笑う。

「社長！会社は電話の嵐ですよ！」

「ごめん！クレーム処理は任せた！」

「いえ、契約の処理で大変です。
　今回の件で約100億円の利益の見込みです」

「そっか」

壱は小さく笑う。
紫は驚く。

「ひゃく？？？」

「おく？？？」

ノノも驚く。

「億万長者だね！」

ピノがケラケラ笑う。

「違います。
　社長は億万ではありません。
　京兆長者です」

ゆかりはそっと言う。

「あの何を言っているかわかんないよ？」

「億万長者っていうのは1億×1万の資産です。
　でも、社長の個人資産は―――」

誰にもその言葉の意味も資産も耳に入らなかった。

「ミリオンとミニオンっていい間違えることない？」

壱だけが小さく笑った。