～マーメイド～

Scene07 赤月よりも青きもの

77 痛いの痛いのは飛んでいく

「というわけで罪は体で払ってもらうよ」

十三が小さく笑う。

「いいわよ。
　好きにすればいいわ……」

紫が小さく俯く。

「紫さんは萌々の系に処する」

十三がそう言って紫に指をさす。

「萌々の刑？」

「萌々の系。
　まぁとある喫茶店で働いてもらうよ。
　そしてその他諸々の奉仕活動」

「……」

紫が黙る。

「どうしたんだい？」

壱が尋ねる。

「奉仕活動ってえっちなこと？」

「違うよ？」

十三が即答する。

「え？」

「……いいことだよ」

「えっちなこともいいことでしょ？」

「……そうなの？」

ピノが現れる。

「ピノ！」

壱が驚く。

「どうやってここに？」

十三も驚く。

「ここは隠し部屋じゃなかったのかよ」

ハイジも驚く。

「ふふふ。
　ピノは目覚めたのだ。
　ピノのギフトに」

「ギフトだと？」

ハイジが驚く。

「ハイジさん知ってるの？」

「代価のない能力開花だよ」

ピノが答える。

「ピノ？」

ピノの目の色が変わる。
そして紫の方を見る。

「私から壱を奪う気？
　忌まわしき能力者」

「私は……」

「そう貴方、紫というのね」

「え？」

怯える紫。

「私と契約しなさい。
　壱の童貞は渡さない。
　もしも奪うというのなら――」

ピノの目が淡く光る。

壱は笑う。

「え？」

驚くピノ、十三、ハイジ。
なぜならピノの目には殺気とは異なる恐怖を出していたから……

「もしも僕がこの子みたいな素敵な子に好かれるのなら……
　今頃、童貞じゃないよ」

「素敵？？？」

紫の顔が赤くなる。

「ほら、そうやって口説く！」

空気が少し和む。

「もういい！
　約束だよ！破ったらハリセンボン！
　護るって誓うのならそんな痛い痛いの飛んでけ―だよ！」

ピノはそう言って紫の頭を撫でる。
すると紫の体中に出来た傷が癒えた。