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Scene05 夢はでっかい宝島
55 明るく元気に生きただけ
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カンカンカンと電車の音が鳴り響く。
その音色はどこまでも切なかった。
真っ赤な世界。
赤くなる夕日。
苦しい世界。
青くなる空。
赤と青が重なる。
紫は濃くなり夜となる。
今ここに生まれるものは孤独だ。
十三はひとり空を見上げる。
なにもない。
「出ておいでよ」
「気づいていましたか」
十三は現れるお笑い芸人を醒めた目で見る。
「ヒロキです。
青い空を赤く染めたくないですか?」
「生憎様。
僕は赤い空を青く照らしたい派なんだ」
十三の言葉にヒロキはいう。
「性格の不一致ですね。
残念です」
そういってウクレレを奏でる。
その音とともに十三の周りが赤くなる。
「無駄です。
僕は糸では切れません」
「……なんと?気づいたのですが?」
「薬で幻覚を見せるのも効かないよ。
中和剤も撒いてる」
「そこまでも!!」
ヒロキは驚きます。
「まぁこの糸で首は斬れない。
でも軽い痛みがある。
だから斬られた感覚になる。
首を斬られた経験なんて誰にもない。
だから幻覚で軽い目眩が起きる。
酷い目眩と震えで地面に倒れる。
それはそれは怖いだろうね。
それはまるで自分の首が落ちるような感覚になる。
貴方はこの間これを高校生に試したよね?
もちろん斬られる前にいろんな小細工をしているんだろうけど……」
「全てお見通しなのですね」
「ウクレレ芸人ヒロキさん。
僕が貴方を倒します」
「出来るのですか?
高校教師で科学者。
知ってますか?二兎追う者は一兎も得ずって言葉を」
「知らない?一挙両得一石二鳥。
僕は欲張りなんだ。
何でも欲しい」
「……強欲とは愚かですね」
――ストン
何かが斬れる。
十三には何が起きたかわからない。
世界が赤くなる。
右手の感覚がない。
「愚かな。愚かな。愚かな」
「あ。手が……」
「愚かで強欲で救いはありません」
左手の感覚がなくなる。
「なんで?これはなんで?」
十三の慌てふためく様子が見える。
足の感覚がなくなる。
ストン、ストン、ストン。
少しずつ。じわりと……
そしてその初めて知った。
斬られているのは自分なのだと。
「えー、死ぬの?嫌だな」
十三の演技が下手だった。
下手なのにヒロキに恐怖が襲ってくる。
「いつの間にです?」
「あ、気づいちゃいました?」
「この薬の開発にいくらかけたの思っています?」
「この薬を作るだけなら3分かな」
「愚かな、私は七道に復習するために何年掛けたと思っています?
それを3分ですか?なめられたものだ」
ヒロキは落ち込む。
「まぁ僕の人生と3分だからね」
ヒロキはもうなにもいいません。
「意識を失ったようだね。
警察に連絡っと……」
十三はそのままヒロキを警察に引き渡した。
その音色はどこまでも切なかった。
真っ赤な世界。
赤くなる夕日。
苦しい世界。
青くなる空。
赤と青が重なる。
紫は濃くなり夜となる。
今ここに生まれるものは孤独だ。
十三はひとり空を見上げる。
なにもない。
「出ておいでよ」
「気づいていましたか」
十三は現れるお笑い芸人を醒めた目で見る。
「ヒロキです。
青い空を赤く染めたくないですか?」
「生憎様。
僕は赤い空を青く照らしたい派なんだ」
十三の言葉にヒロキはいう。
「性格の不一致ですね。
残念です」
そういってウクレレを奏でる。
その音とともに十三の周りが赤くなる。
「無駄です。
僕は糸では切れません」
「……なんと?気づいたのですが?」
「薬で幻覚を見せるのも効かないよ。
中和剤も撒いてる」
「そこまでも!!」
ヒロキは驚きます。
「まぁこの糸で首は斬れない。
でも軽い痛みがある。
だから斬られた感覚になる。
首を斬られた経験なんて誰にもない。
だから幻覚で軽い目眩が起きる。
酷い目眩と震えで地面に倒れる。
それはそれは怖いだろうね。
それはまるで自分の首が落ちるような感覚になる。
貴方はこの間これを高校生に試したよね?
もちろん斬られる前にいろんな小細工をしているんだろうけど……」
「全てお見通しなのですね」
「ウクレレ芸人ヒロキさん。
僕が貴方を倒します」
「出来るのですか?
高校教師で科学者。
知ってますか?二兎追う者は一兎も得ずって言葉を」
「知らない?一挙両得一石二鳥。
僕は欲張りなんだ。
何でも欲しい」
「……強欲とは愚かですね」
――ストン
何かが斬れる。
十三には何が起きたかわからない。
世界が赤くなる。
右手の感覚がない。
「愚かな。愚かな。愚かな」
「あ。手が……」
「愚かで強欲で救いはありません」
左手の感覚がなくなる。
「なんで?これはなんで?」
十三の慌てふためく様子が見える。
足の感覚がなくなる。
ストン、ストン、ストン。
少しずつ。じわりと……
そしてその初めて知った。
斬られているのは自分なのだと。
「えー、死ぬの?嫌だな」
十三の演技が下手だった。
下手なのにヒロキに恐怖が襲ってくる。
「いつの間にです?」
「あ、気づいちゃいました?」
「この薬の開発にいくらかけたの思っています?」
「この薬を作るだけなら3分かな」
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それを3分ですか?なめられたものだ」
ヒロキは落ち込む。
「まぁ僕の人生と3分だからね」
ヒロキはもうなにもいいません。
「意識を失ったようだね。
警察に連絡っと……」
十三はそのままヒロキを警察に引き渡した。
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