～マーメイド～

Scene04 振り上げた拳

47 ぺろりザウルスはなんでもたべる

「いいこと起きますように！」

ピノは空を見上げて大きくそういった。

「……」

返事は来ない。

「いいこと起きますように！」

返事はない。
誰も返事をしない。

だって目の前には壱の死体があったからだ。

そんな夢を見た。

「あああああ！！！」

叫び声を上げるピノ。

「ピノ大丈夫？」

壱の声に安心するピノ。

「大丈夫だよ。
　壱は大丈夫？」

「え？僕は大丈夫だよ？」

「よかった」

「うん？」

「壱と一緒にベッドで寝たい」

「それは照れる」

自分を性的な目で見ない壱。
ピノは少しだけ嬉しかった。
でもその半分だけ落ち込む。
それは自分に魅力がないのではないかと思ったからだ。

「しょんぼり」

ピノはそういってへこむ。

「僕だって狼なんだからね！
　ピノなんてペロリだよ」

「ペロリザウルス？」

「うん、ペロリザウルスだよ」

「煮る？焼く？」

「炙る」

「えー、怖い」

ピノがきゃっきゃっとはしゃぐ。

「いいから寝なさい」

「ピノは壱なら何されてもいいよ」

「本当に？」

「うん」

「じゃ、いい子だー」

壱はピノの頭を優しく撫でた。