～マーメイド～

Scene03 大好き

26 真実は小説よりも奇なり

するとうじゃうじゃと男子高生たちが集まる。

「あれ？女をヤリ放題と聞いて来たんだが……
　なに？今日はOLとセックスできるのか？」

集まった男子生徒のひとりがそういうと別の男子生徒がいう。

「俺、奥で震えているお姉さんも好きー」

そう言って男子生徒たちは美知子とその女性に近づく。
すると梨麻がその男子生徒のひとりを投げ飛ばす。

「ああん？
　お前、仲介人じゃないのかよ……
　見学者なら大人しく――」

男子生徒がそこまでいいかけたとき梨麻の強烈な拳が鼻にぶつけられ鼻血を流しながら意識を失った。

「その子に手を出さないでほしいっすね。
　出すのなら俺が相手っすよー」

「ああん？
　だから、テメェなに様だ？」

リーダー格の男子生徒がゆっくりと起き上がりながらそう言った。

「へぇ、意外とタフなんっすね」

梨麻が笑う。

「あんなのかすり傷にもならないぜ！」

リーダー格の男子生徒が、そう言って笑う。

「そうだね、ゲームのボスキャラはなぜかHPが高いよ」

壱が、明るい声でそう言った。

「……ああん？」

リーダー格の男子生徒が、不機嫌そうに壱の方を睨む。

「あ？もしかしてこれって集団リンチってやつ？」

すると見知らぬ男が、そう言って壱たちの方を睨む。

「なんだ？テメェは？」

リーダー格の男子生徒たちも知らない顔なのかその男の顔に問答無用で一撃拳をぶつけた。

「あーあれ、入ったんじゃないっすか？」

梨麻が、そう言ってため息をつく。

「あー、大丈夫、大丈夫。
　入ってないから安心して」

するとその男は笑顔で答えた。

「痛えぇぇぇ！！」

リーダー格の男が、殴った手を押えその場に倒れ込む。

「なにをしたんだ？」

別の男子高生が驚いている。

「殴れば痛いね。
　はい、どうとくのじかんだったね」

男は、そういうと一歩、一歩、男子高生に近づいていく。
すると男子高生は抵抗するかのごとく男性を囲ってナイフで襲いかかる。
しかし、そのナイフはその男に刺さることはなかった。
ナイフは、何かに刺さりそして抜けなかった。

「な、なんだこ――」

男子高生が驚くよりも先にその男が驚く。

「えー。
　ナイフ程度もガードできないのかぁー
　少し出力が弱かったかな。
　ちょっとアンバランサーの出力を高めようか」

男が、そう言って人差し指を親指で擦ると一瞬でナイフが溶けた。

「あー。
　今度は強すぎだね。
　改良の余地ありっと」

男は、そう言って壱たちの方を見た。
壱は瞬時に感じた。
この人には勝てないと……