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童話:さんびきのこぶた(おに)

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 むかし、むかーし。
 あるところに三匹の子ブタがいました。
 みんなの名前は、一番上のお兄さんが「一郎」
 二番目のお兄さんが「次郎」、三番目の弟が、「三郎」です。

 さて、三匹の子ブタを育てる事が出来なくなった、母豚は、三匹の子ブタにこう言いました。

「貴方達、もう大きいのだから、自分で家を作って生活をしなさい」

 そして、三匹は家を出ました。。

「さぁ、作戦会議をしようか……」

 そう切り出したのが、三郎でした。

「作戦会議?」

 次郎が、眉間にシワを寄せて、三郎に聞き返しました。

「そうだよ、兄さん」

「何を会議するんだい?」

 一郎は、のんきな声で言いました。

「3人で協力して家を建てようよ」

「俺はいいよ。
 ワラの家ならすぐに作れる自信があるし」

 一郎が、得意げに胸を張って言いました。
 そして、それに続くように次郎が、

「俺もいいよ。
 木の家なら簡単に作れる自信がある」

 と言いました。

「ワラの家だって?
 そんなの狼の一息で吹き飛ぶよ
 そしたら、兄さん、狼のご飯になっちゃうよ?」

「じゃ、木の家ならどうだ?」

 次郎が、胸を張って言いましたが、三郎に溜息交じりに返されました。

「木の家だって?
 そんなの狼の力で簡単に壊されるよ」

 それを聞いた、一郎と、次郎は怒鳴りました。

「じゃ、どうしろと言うのだ?」

「アパートを作ろうと思う」

 三郎は、目をキラキラ輝かせて言いました。

「アパート?」

「土地があるんだ。
 アパートを作れば、それだけで収入を得る事が出来るし……」

「そんなに上手くいくかな?」

 一郎は、不安そうな目で、三郎の顔を見つめました。

「三人いるんだ。
 なんとかなるよ」

「そうだな。
 折角家を出るんだ、極貧生活を各自でするよりも、収入が得れるアパートの方がいいだろう」

 一郎は不安もあるものの三人力を合わせればなんとかなると考えました。

 そして、1年が過ぎました。

 三匹の子ブタは、立派な、レンガのアパートを建てる事に成功しました。
 そして、アパートの家賃収入で三人は、優雅に暮らす事ができました。
 さて、今日は家賃の支払い日。

「今日こそは、払ってくれるよね?」

「もう一日、もう一日だけ待って下さい」

「貴方は、毎回そう言っているけど、まだ一度も払っていないじゃないか」

「そこを何とか……
 何とか待って下さい。
 来月こそは払いますので……」

「絶対、払って下さいよ?」

 三郎は、部屋を出ると溜息をつきました。

「来月こそは、追い出そう」

 部屋のドア越しにそれを聞いていた狼は、涙を流しました。

「もう、吊ろうかな……
 最初は、子ブタ達を食べようと思ったのに……
 どうして、こんな事になったのだろう……」

 狼は、そう呟きながらタバコに火を付けました。

「ふぅ……
 仕事しなくちゃ……」

 こうして、三匹の子ブタは、狼さえも頭が上がらない大家として幸せに暮らしたそうです。

 めでたし、めでたし
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