子どもができた

第11章 ファンファーレ

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「港！」

港の頭からは大量の血が流れている。
動かしてはいけない……
とっさに、俺はそう思った。

俺は、すぐに救急車を呼んだ。

早く来い。
早く来い。
早く来い。
早く来い。
早く来い。

港はぐったりとしているのにも関わらず、婚約届けだけは力強く握り締められていた。

俺は、その姿を見て、涙が出そうになった。

何が起きたのだろう？
何が起きたのだろう？
何が起きたのだろう？

港が落ちた。
港が落ちた。
港が落ちた。

同じ言葉を何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返す。

サイレンが近づき救急車が止まる。
そして、救急隊が救急車から降りてきて俺に色んな質問をしてきた。

「この子の名前は？」

俺と港は明日には夫婦になって……

「この子の血液型は？」

俺と港は明日には夫婦になって……

「ちょっと君！」

お金を貯めて、いっぱい貯めて、港が大学を卒業したら結婚式をあげて新婚旅行は海外に行って……

パチン！

頬が痛い。
俺は叩かれたのか？？

「あ……」

俺、今泣いているのか？？

「この子の名前は？
　血液型は？」

救急隊の人が俺にもう一度質問を投げかけた。

「名前は、港。
　血液型はＡ型です…」

「早く君も救急車に乗りなさい！」

俺は、そう言われ救急車に乗った。