不老に剣士

はらぺこおねこ。

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Scene10 今がその時だ

228 真実はいつもひとつとは限らない

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一同は、一度魔法学園に戻ることになりました。

「カマトト1/2……」

鈴が小さく呟くとわたろうが訪ねます。

「鈴さんや、どうかしたのかい?」

「いえ、本物はあの2倍は強いってことですよね……」

「そうだね。
 でも本体が敵かどうかはわからないよ」

白銀が答えます。

「どういうことです?」

鈴の質問に新一が言葉を足します。

「クレイジーソルトさんの件もあるからね。
 今回の僕らの敵の見極めは極めて難しい」

「つまり本物が味方に付けば……」

「鬼に金棒ってわけだ」

かみさまが小さく言います。

「なんか元気ない?」

万桜がかみさまに尋ねます。

「後でわかることだから今言おう。
 余は、テオスの幹部元無極躰主王大御神モトフミクライヌシノオオミカミの息子だ」

「モトフミの……?」

シエラが固まります。

「え?マジかよ」

焔も固まります。

「そうマジ卍って感じだよね」

そう言って少女が窓から入ってきました。

「誰だい?」

新一と白銀が刀の刃を向けます。

「警戒しなくていいよ」

少女は二本の刀を降ろします。

「え?」

驚くふたり。

「姉上?」

かみさまが驚きます。
その言葉に一同が驚きます。

「かみさまのお姉さん?」

丹歌が思わず声を出します。

「君が噂の丹歌くんね」

「え?」

「かわいー」

その少女はそう言って丹歌の体を抱きしめます。

「え?」

丹歌は初めて人に抱きしめられました。

「だ、ダメですよ」

「どうして?」

「だって僕に触れようとすると僕の武器になるんですよ?」

それは丹歌に掛けられた呪のひとつです。

「そうなの?」

「だ、だから……」

「でも、もう触ちゃった!」

「姉上、お戯れもそこまでです。
 丹歌が照れてます」

「もう!かみさま。
 姉上って呼ばないでって言ってるでしょ?
 せめて天照姉さまって呼んでよー」

かみさまの姉、天照が頬を膨らませていいました。

「天照さんって、あの天照大神の天照さん?」

ジャキがそう言うと天照が答えます。

「違うようなそうでないような。
 貴方たちが知っている元無極躰主王大御神と天照大神は、親子ではないわね……
 私はイザナギの叔父様の目からは産まれてないし、ちゃんとお母さんいるのよ?」

「そ、そうなのですね。
 で、でもそろそろ離してくれませんか?
 丹歌の顔が赤くなっています」

玉藻が天照の方を見て顔を赤らめて言います。

「あら?女の子慣れしてないのね。
 でも、貴方の呪いの解除法がわかったわ」

「え?」

「貴方がずっと気にしている『人からは誰からも愛されない』というやつね」

「え?それじゃ丹歌の永遠の悩みが解決されるの?」

シエラの問いに天照がニッコリと笑います。

「丹歌くん、童貞を喪失させちゃえばちゃんと人から愛されるようになるわ」

「え?」

「ほら、白雪姫も王子様のキスで呪いが解けるでしょ?」

「あれは童話の話じゃ……」

「あれは実話なのよ?
 眠れる森の美女も実話だし白雪姫も実話。
 日本でいうと桃太郎も実話だしカチカチ山も実話。
 まぁ多少、話は変えられているけれどね」

天照はそう言ってクスクスと笑いました。
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