不老に剣士

はらぺこおねこ。

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Scene10 今がその時だ

266 あらら

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 わたろうは、精神を集中させます。
 カマトトの存在を探知しようと思ったからです。
 しかしすぐに止めます。
 
 「先にここを出よう。
  鈴さんと他の女の子たちも一緒に……」
 
 わたろうはそう言って周りの女の子たちを魔力で包み込みます。
 
 「帰ろう鈴さん」
 
 その時、世界が眩しくなりました。
 
 カマトトは笑います。
 
 「あはははは!女たちは勿体なかったが。
  あの丸っこい化け物を倒すにはこれが一番手っ取り早い!
  空間ごと爆破すればいい!」
 
 カマトトは、そう言って豪快に笑います。
 
 「なんだあと少し遅かったら危なかったのだね」
 
 わたろうがあの場にいた全ての女の子たちを連れて現れます。
 
 「な?どうやって来た?」
 
 カマトトが戸惑います。
 
 「君は不思議な事を言うのだね。
  行けたのだから帰り道も同じだろう?」
 
 「糞が!」
 
 カマトトはわたろうとの間合いを取るため後方に下がります。
 
 トスン。
 
 カマトトは何かにぶつかります。
 
 「おや?」
 
 わたろうは、その気配に戸惑います。
 
 「なんだ?貴様は……?」
 
 カマトトはその少女を見て戸惑います。
 
 「あの場にいたから連れてきたのだけど君が拐ってきた子じゃないのか……?」

「……知らないぞ!何だこの力は!
 魔力でもない!チャクラでもない!マナでもない!エーテルでもない!」 

女の子はカマトトを無視してわたろうの後ろにいる女の子たちを見て息を吐きます。

「はぁ。
 あの空間は私が作った秘密基地だったのに……」

わたろうは見覚えのあるその兎人族の少女に首を傾げます。

「君は清空さんかい?でも、瞳の色が違う……
 清空さんの瞳は金色なのに君は青いね」

わたろうが、そういうと兎人族の少女は目を輝かせます。

「お姉さんを知っているのですか?」

「お姉さん?まぁいいや。
 先に後ろの存在をどうにかしないと」

わたろうはそう言ってカマトトの方を見て言います。
兎人族の少女は、わたろうの後ろにいる女の子の方を見ていいます。

「そうですね」

わたろうは、方向の違いに気づきます。
兎人族の女の子は、指をパチンと鳴らし。

「シャワーで綺麗にしましょうね」

魔力の雨を、女の子たちに当てます。

「え?回復魔法かい?」

兎人族の娘はニッコリ笑うと言葉を続けます。

「ってなわけで、次は……ファイヤーカーテン!」

今度は魔力の火を降らせます、

「ええええええ?」

流石のわたろうも驚きます。

「何を驚く必要があるんですか?
 何時までも裸だなんて可愛そうじゃないですか」

「あ……」

わたろうは目をこすります。
先程まで一糸まとわぬ姿だった女の子たちの傷が消えている上に赤い服が着せられていました。

「糞……今のうちに」

カマトトは、異空間へ逃げようと空間の裂け目に手を突っ込みます。
すると兎人族の女の子の目の前にその手が現れます。
兎人族の女の子は、その腕を引っ張り引き釣りだします。

「あ?なんでだ?」

カマトトは、驚きます。
先程まで意識を失っていた女の子たちの沢山の子が目を覚まします。
その中には鈴も含まれていました。

「わたろうさん!」

鈴は刀を召喚してそれを構えます。

「さて私の秘密基地を壊したのは貴方ですね?」

「秘密基地だと?あれは俺が見つけた数年前に見つけた無人空間のはず!」

「あそこは私が作った空間です。
 ガイルから逃げるためにね…‥
 そしてそこでずっと眠っていたのです。
 目が冷めたときガイルがいないことを願って……
 気配も消して――なのにその秘密基地を貴方は壊しました。
 そしてそこで何をしていたか検討はつきます!」

兎人族の女の子は、カマトトに1歩近づきます。
カマトトは恐怖のあまり3歩下がります。
そして背中を向けて走ります。
するとゲートが開き兎人族の女の子の目の前に現れます。

「その異空間魔法の座標はズラさせてもらいました」

その言葉を信じないカマトトは更に兎人族から背を向けて逃げます。

「はぁ……
 じゃぁ、返してあげます。
 君の座標を好きなところに逃げていいですよ」

カマトトは助かったと思いました。

でも、何かが違います。
カマトトの体は縦に真っ二つに切れてしまいました。

「ごめんなさい。
 タイミングがズレてしまいましたね……」

わたろうも鈴もその場にいた女の子も状況がわかりません。
ただわかっていること。
それはカマトトの1/2が簡単に死んだということだけでした。

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