不老に剣士

はらぺこおねこ。

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Scene10 今がその時だ

235 答えにたどり着けなかった存在

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カマトトは鈴に催眠の魔法をかけます。
鈴は抵抗することもできず、眠りについてしまいます。

「さぁ、どうしたものか……」

カマトトがそう言っていやらしい笑みを浮かべます。

「目が冷めたら即発情する薬を今のうちに打つか……
 それとも脳を犬の脳みそと交換するか……
 いやそれじゃ、サイズが合わないな。
 脳に手術をしてどんな命令でも聞く存在にしてやろう!」

すると小さな雪がひとつ鈴の前にゆっくりと舞い落ちます。

「雪?」

カマトトが首を傾げるとその雪から手足が生えてきます。

「……」

反応がない鈴を見たその物体は小さく声を放ちます。

「鈴さんや……
 どうしてそんな姿なんだい?」

わたろうがそう言って鈴の体の上に風呂敷を召喚して乗せました。

「なんだ?てめぇは……」

「……」

わたろうは、カマトトの言葉には反応しません。

「無視してんじゃねぇぞ!」

カマトトは、わたろうの首をカマで跳ねました。
わたろうの首はコロコロと転がります。

そして、カマトトの足元で止まります。

するとカマトトはわたろうの顔を踏み潰しました。

「雑魚が!出てこなければ死なずに済んだのにな!」

カマトトは嬉しそうに笑います。

「……はぁ」

するとわたろうのため息の声がカマトトの耳元に届きます。

「なんで声が聞こえる?
 殺したはずだろ?」

カマトトは周りを見渡します。
でも、わたろうの姿はどこにもありません。

「卑怯だぞ!姿を現せ!」

カマトトはそう言って魔力感知の魔法の範囲を広げます。

「卑怯ね……それを君が言うのだな」

「なんだ?俺の魔力感知は完璧なはずだ!
 なのにどうして感知できない?」

するとカマトトの胸に穴が空きます。

「あ?」

カマトトの表情が一気に暗くなります。

「な、なんだ?」

「君がやったのは魔力感知だからだよ」

姿が見えぬわたろうの声にカマトトは戸惑いつつ声を荒らげます。

「俺の魔力感知で感知できるのは、魔力だけじゃない。
 精霊の力のマナ!人の潜在能力のチャクラ!
 宇宙の力、エーテルもさえも……」

「そうか君は凄いのだね」

「そうさ!俺は凄いんだ!
 カマトトの1/2なんだぞ!」

「そっか……」

わたろうの元気のない返事にカマトトは笑います。

「そうだ!怖気づいたか!ハハハハ!
 命乞いをしろ!」

カマトトはそう言って胸の穴を再生させます。

ポン

小さな音がなります。

カマトトのお腹に穴が空きます。

「あ?」

わたろうが姿を現します。

「ようやく姿を現したな!
 このカマでお前の首を――」

カマトトのカマは何故か、わたろうが持っていました。

「返せ!」

カマトトがそういうと、わたろうがため息を吐きます。

「返すのは、この武器かい?
 それとも、君の首?」

「ああん?」

カマトトは両手で自分の首があった場所を触ります。
でも、首はありません。

「本体はここにはないのだね」

わたろうは、そう言ってカマでカマトトの体を一刀両断しました。

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