不老に剣士

はらぺこおねこ。

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Scene09 滅びのとき

203 名もなき少女

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「私にはなにもない。
魔力もない、力もない、可愛くもない、こんな場所にいるから清潔感もない」

醜い少女はそう言って涙ぐみます。

「君はその子がぶつかったとき。
君の額の怪我よりもクズきりくんの心配をしただろう?」

「傷なんて『痛いの痛いの飛んでいけ』ってすれば治るもん」

少女はそう言って額の傷を撫でて誰もいない方へ飛ばしました。
するとなんてことでしょう。
少女の傷はなくなりました。

「……君には力がある」

「ないよ」

「君はヒーラーの素質がある」

「今の世界、人を救うより救っている間に誰かを倒している方が効率がよく求められているんだ」

「それでは困るんだ」

「どうして?」

「それは我が魔王だからだ。
人が減っては食事ができぬ」

少女は言葉を失います。

「ベルゼブブさん、それはなんか酷い気が……」

クズきりくんがそういうとベルゼブブが言います。

「誰にものを言っている?
我は魔王ぞ、優しさなんてない。
だが我の願いを叶えるのであればそなたの願いを叶えてやろう」

「わかった。
私にできることなら……」

「我に触れて言うのだ。
痛いの痛いの飛んでいけと」

「え?あ、はい」

醜い少女はベルゼブブに触れます。

「痛いの痛いのとんでいけ」

ベルゼブブの身体が軽くなります。
ベルゼブブの魔力も戻ります。

ベルゼブブは呪われて全ての力を失ってしまっていました。

「うむ、力は戻った。
して少女よ、願いはなんだ?
美しくなって異性にモテたいか?」

「私に名前をください」

少女は涙を流してそう言いました。



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