不老に剣士

はらぺこおねこ。

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Scene09 滅びのとき

197 何のために生きる

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強大な悪がいます。
その悪を拳で打ち勝つ男がいました。
どんな悪でも拳ひとつで戦う男がいました。
その男の名前はアンパン。
まがいものと言われるアソパソとは違う本物のヒーローです。

「勇気の鈴がリリリン」

アソパソが歌います。
そこには、誰もいなません。
ただひとり。
ただひとり静かに歌います。

「アソパソ」

バイキンマンが、アソパソの前に現れます。

「バイキン?どうしたんだい?」

「話し方もヤツにそっくりだな」

バイキンが小さくため息を放ちます。

「うん、だって僕は……」

「そうだな。そうだったな。
お前、アンパンの連絡先を知らないか?」

「その人の話はしたくない」

「そうか」

「うん、僕はまがいものだから」

「そうか」

「うん」

「なぁ、俺様の頼みをひとつ聞いてくれるか?」

「なんだい?」

バイキンマンは、アソパソにクズきりくんの話をしました。

「そっか。
でも、僕はあの人の連絡先は――」

アソパソの目が淋しげでした。

どこか遠く。
どこか切なく。
そして儚げでした。

「いや、あいつに連絡はしなくていい。
お前があいつになるんだ」

「僕が?あの人に……?」

「ああ、そうだ。
お前らは見た目はそっくりだ」

「僕なんかが、なれるのかな」

「なれるさ……いや違う。
なってやるんだ。
お前は誰でもないお前の中のあいつになれ」

「わかった」

アソパソマソは、そううなずくと立ちあがりました。





クズきりくんに石を投げる子どもたち。
毎日のように毎日のように泣いているクズきりくん。

「みんな!弱い者いじめはやめるんだ!」

アソパソは、クズきりくんの前に立ち石を受け止めます。

「なんでここにアンパンが!?!?」

子どもたちは驚きます。

「弱い者いじめはやめるんだ!」

子どもたちもアンパンが大好きです。
みんな自らの行為に少しも罪悪感がなかったわけではありません。
だから、子どもたちは石を地面に落とし、そしてそのまま逃げるように去りました。
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