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Scene09 滅びのとき
189 それでもオレは誰かの勇者に
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たとえ、ばい菌と後ろ指を指されても。
そこそこ楽しかったのです。
男は、いろんな研究をしました。
ライバルを倒すことだけを考えていました。。
だけど、ライバルを殺すことなど簡単でしたが。
倒されることのほうが多かったのです。
男は、ライバルを倒すことにためらいがありました。
でも、ライバルにはためらいがなありませんでした。
その差が大きく。
自分が負けたときの周りの笑顔が眩しくて毎日泣いていました。
自分が惚れた女もライバルの友だちの味方。
男は孤独でした。
好かれるライバルと嫌われる自分。
でも、愛されることがないと思っていた男はそれを笑ってごまかしていました。
「はひふへほー」
男の声が虚しく響きます。
でも、誰も気づきません。
負けて吹き飛ばされているのに「はひふへほー」とか言える余裕があるでしょうか?
普通はありません。
男は心に余裕がありました。
だから、負けたふりをしていました。
そうすることで罪悪感などにまみれた心が少しだけ消える気がしたのです。
吹き飛ばされたあとに見える子どもたちの笑顔。
男にはどうあがいても子どもたちを笑顔に変えることはできませんでした。
唯一、子どもたちを笑顔にさせる方法があります。。
それは、自分が負けること。
ずっと、ずっと、悔しかった。
悔しくて涙が溢れます。
「はひふへほ……」
男の声が虚しく響きます。
そんなある日のことです。
とある国の王さまが、ばい菌によって命を失いかけていました。
ばい菌には沢山の種類がいます。
男は、ばい菌のすべてを知っていました。
とある国の王さまの娘。
つまりお姫さまが、その男に泣きながら頼みに来ました。。
自分に何をしてもいいから、父親を助けて欲しいとのことでした。
男はつい魔が差したのです。
そう、それはほんの気まぐれでした。
男は、王さまの命を救ったのです。
でも、お姫さまには何もしませんでした。
お姫さまは泣きながら男にお礼をいいました。
「ありがとう」
それははじめて言われた言葉……
お礼を言われて嬉しいはずなのに涙が溢れました。
お礼を言われたはずなのに涙が出ました。
男は、「ありがとう」たったひとことそう言われるために頑張れる気がしました。
世の中には、「ありがとう」と言われないことのほうが多いです。
それを知っている男はお礼を言われないことは苦痛ではありませんでした。
ひとつの「ありがとう」
ふたつの「ありがとう」
みっつのよっつの「ありがとう」
「ありがとう」
そう言ってもらえるだけでしあわせになれました。
男は知りました。
知っていたはずなのに気づきませんでした。
生物を殺める菌も沢山います。
でも、生物を助ける菌もあるということに……
生物を殺める菌のほうが多い。
でも、自分はなれるかもされない。
みんなに「ありがとう」と言ってもらえる菌に……
男は、「ありがとう」
そう言われるためにいろんな研究をしました。
科学者から医師になった瞬間でした。
癌を死滅させる菌。
傷を再生させる菌。
色んな菌を開発し、色んな技術を身につけました。
そして、時は流れ……
男は、『ばい菌先生』と言われることになります。
汚い『ばい菌』じゃない「ありがとう」という意味の『ばい菌』。
男は、そのことを誇りに思っています。
「ばい菌マーン。
また、骨を折ってしまいましたー」
そう言って現れたのは骸骨の男。
「ガイコツマン。
もう歳なんだ、あんまり無理をするな」
「でもですねー
木に引っかかった子どもがいたんですよー」
「そうか、それは大変だな」
「はい、でも、とびっきりの『ありがとう』貰いました」
ガイコツマンのその言葉を聞いたばい菌先生は、ニッコリと笑顔を見せました。
「『ありがとう』いいよな。
それだけで、しあわせになれる魔法の言葉だ」
ふたりは、そう言って笑いました。
もう、そこにはみんなから嫌われる男はどこにもいません。
みんなから愛される男がそこにいました。
そこそこ楽しかったのです。
男は、いろんな研究をしました。
ライバルを倒すことだけを考えていました。。
だけど、ライバルを殺すことなど簡単でしたが。
倒されることのほうが多かったのです。
男は、ライバルを倒すことにためらいがありました。
でも、ライバルにはためらいがなありませんでした。
その差が大きく。
自分が負けたときの周りの笑顔が眩しくて毎日泣いていました。
自分が惚れた女もライバルの友だちの味方。
男は孤独でした。
好かれるライバルと嫌われる自分。
でも、愛されることがないと思っていた男はそれを笑ってごまかしていました。
「はひふへほー」
男の声が虚しく響きます。
でも、誰も気づきません。
負けて吹き飛ばされているのに「はひふへほー」とか言える余裕があるでしょうか?
普通はありません。
男は心に余裕がありました。
だから、負けたふりをしていました。
そうすることで罪悪感などにまみれた心が少しだけ消える気がしたのです。
吹き飛ばされたあとに見える子どもたちの笑顔。
男にはどうあがいても子どもたちを笑顔に変えることはできませんでした。
唯一、子どもたちを笑顔にさせる方法があります。。
それは、自分が負けること。
ずっと、ずっと、悔しかった。
悔しくて涙が溢れます。
「はひふへほ……」
男の声が虚しく響きます。
そんなある日のことです。
とある国の王さまが、ばい菌によって命を失いかけていました。
ばい菌には沢山の種類がいます。
男は、ばい菌のすべてを知っていました。
とある国の王さまの娘。
つまりお姫さまが、その男に泣きながら頼みに来ました。。
自分に何をしてもいいから、父親を助けて欲しいとのことでした。
男はつい魔が差したのです。
そう、それはほんの気まぐれでした。
男は、王さまの命を救ったのです。
でも、お姫さまには何もしませんでした。
お姫さまは泣きながら男にお礼をいいました。
「ありがとう」
それははじめて言われた言葉……
お礼を言われて嬉しいはずなのに涙が溢れました。
お礼を言われたはずなのに涙が出ました。
男は、「ありがとう」たったひとことそう言われるために頑張れる気がしました。
世の中には、「ありがとう」と言われないことのほうが多いです。
それを知っている男はお礼を言われないことは苦痛ではありませんでした。
ひとつの「ありがとう」
ふたつの「ありがとう」
みっつのよっつの「ありがとう」
「ありがとう」
そう言ってもらえるだけでしあわせになれました。
男は知りました。
知っていたはずなのに気づきませんでした。
生物を殺める菌も沢山います。
でも、生物を助ける菌もあるということに……
生物を殺める菌のほうが多い。
でも、自分はなれるかもされない。
みんなに「ありがとう」と言ってもらえる菌に……
男は、「ありがとう」
そう言われるためにいろんな研究をしました。
科学者から医師になった瞬間でした。
癌を死滅させる菌。
傷を再生させる菌。
色んな菌を開発し、色んな技術を身につけました。
そして、時は流れ……
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汚い『ばい菌』じゃない「ありがとう」という意味の『ばい菌』。
男は、そのことを誇りに思っています。
「ばい菌マーン。
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そう言って現れたのは骸骨の男。
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「はい、でも、とびっきりの『ありがとう』貰いました」
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「『ありがとう』いいよな。
それだけで、しあわせになれる魔法の言葉だ」
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