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Scene09 滅びのとき
180 とある昔⑥
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街はもうありません。
リトルサマーキッスは絶望するしかありません。
言葉を失うリトルサマーキッス。
バンパイアの街人たちは全員目をくり抜かれ……
胸に穴が空いていました。
「どうして……?」
うつむくリトルサマーキッス。
でも、うつむいても泣いても何も出ません。
出るのはトマトの汁です。
「ハーゴン、お前はどうしてこの街に?」
清空が尋ねます。
「仕事だ」
「バンパイアを狩りに来たのか?」
「違う。
やがて来るだろうテオスとの戦いにおいてバンパイア一族と手を組もうって話があったんだ」
「やはりテオスは戦争をする気なのだな?」
「ああ、そうだ」
清空が頭を押さえます。
「天使軍のアンゲロスにも協力を打診している」
ハーゴンの言葉にバーバラは言葉を失います。
「……テオス。
許せないわね」
「ああ、俺はスラッグ国に戻ってこのことを報告してくる」
「お兄さん……」
リトルサマーキッスはハーゴンの顔をじっと見ます。
「そんな湿気た顔をするな。
こういうときは歌を歌え」
「歌ですか?」
ハーゴンは、そっと歌います。
「トマト戸惑うトマトマト」
「え?」
ハーゴンの歌にリトルサマーキッスは驚きます。
「まさにお前の今の状態だな!」
ハーゴンは豪快に笑います。
「ちょっと貴方!」
バーバラは少し怒った口調でハーゴンを睨みます。
「大丈夫だ!俺がバラバラになった身体を探してやる。
全部集まればお前は元の体に元通りだ」
「僕が元に戻っても街の人は……」
「ああ、元には戻らん。
死んだからな」
「……」
「しゃー!!」
何でも食べるトマトが唸っています。
そしてゴクウが言います。
「まぁなんだ。
なんとかなるって!」
「ゴクウ……」
「ぬいぐるみも喋ってる……」
ハーゴンは戸惑います。
「はい。街の人がプレゼントしてくれました」
「そうか……」
ハーゴンはそっと笑いリトルサマーキッスの頭を撫でます。
そして言葉を続けます。
「じゃぁな。俺は行く」
「はい、またです」
リトルサマーキッスは、ハーゴンに手を振ります。
ハーゴンも手を振り返すとそのまま姿を消しました。
リトルサマーキッスは絶望するしかありません。
言葉を失うリトルサマーキッス。
バンパイアの街人たちは全員目をくり抜かれ……
胸に穴が空いていました。
「どうして……?」
うつむくリトルサマーキッス。
でも、うつむいても泣いても何も出ません。
出るのはトマトの汁です。
「ハーゴン、お前はどうしてこの街に?」
清空が尋ねます。
「仕事だ」
「バンパイアを狩りに来たのか?」
「違う。
やがて来るだろうテオスとの戦いにおいてバンパイア一族と手を組もうって話があったんだ」
「やはりテオスは戦争をする気なのだな?」
「ああ、そうだ」
清空が頭を押さえます。
「天使軍のアンゲロスにも協力を打診している」
ハーゴンの言葉にバーバラは言葉を失います。
「……テオス。
許せないわね」
「ああ、俺はスラッグ国に戻ってこのことを報告してくる」
「お兄さん……」
リトルサマーキッスはハーゴンの顔をじっと見ます。
「そんな湿気た顔をするな。
こういうときは歌を歌え」
「歌ですか?」
ハーゴンは、そっと歌います。
「トマト戸惑うトマトマト」
「え?」
ハーゴンの歌にリトルサマーキッスは驚きます。
「まさにお前の今の状態だな!」
ハーゴンは豪快に笑います。
「ちょっと貴方!」
バーバラは少し怒った口調でハーゴンを睨みます。
「大丈夫だ!俺がバラバラになった身体を探してやる。
全部集まればお前は元の体に元通りだ」
「僕が元に戻っても街の人は……」
「ああ、元には戻らん。
死んだからな」
「……」
「しゃー!!」
何でも食べるトマトが唸っています。
そしてゴクウが言います。
「まぁなんだ。
なんとかなるって!」
「ゴクウ……」
「ぬいぐるみも喋ってる……」
ハーゴンは戸惑います。
「はい。街の人がプレゼントしてくれました」
「そうか……」
ハーゴンはそっと笑いリトルサマーキッスの頭を撫でます。
そして言葉を続けます。
「じゃぁな。俺は行く」
「はい、またです」
リトルサマーキッスは、ハーゴンに手を振ります。
ハーゴンも手を振り返すとそのまま姿を消しました。
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