不老に剣士

はらぺこおねこ。

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Scene08 血霧のゲルンガ

158 思い出⑧

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それは、獣の如く。
それは、隼の如く。
素早い動きで、人々を襲う獣。

獣と座来栖は、一瞬目が合います。
獣は座来栖の顔を見た後、悲しそうにうめき声をあげるとバタリと倒れました。
そして、その獣の姿が光に包まれます。

そして、光が消えたときに現れた姿は、一糸纏わぬ利奈の姿でした。

「利奈……?」

座来栖は、ゆっくりと利奈に近づきます。
そして、利奈の体をゆっくりと起こしました。

「ざく……る……す?」

「ああ。
何があった??」

「私、街の人達を殺しちゃった……」

「どうしてこんな……」

「わからない。
男の人にぶつかったと思ったら、急に体が熱くなって。
そしたら、意識とか全部飛んじゃって……
気づいたら、私、人殺しちゃった……」

「お前も、傷だらけじゃないか……」

「……うん」

「あ……ん……はっ……」

利奈は、うめき声をあげた。

「あ……
 また、あの獣になっちゃう……」

利奈は、召喚魔法を唱えそこから一つの銃を座来栖に渡しました。

「ねぇ、私を殺して……」

「何を……
 言ってるんだよ……」

「私を殺して……
 ねぇ。早く……」

利奈は、そう言って涙を流します。
利奈は、ゆっくりと体を起こすと、座来栖から離れます。

「ごめんね……
 ごめんね、座来栖……」

「ヤダよ。
 俺、利奈を殺したくない……」

「座来栖……
 お願い……
 私を人の姿でいる間に殺して……
 で、ないと私。
 座来栖も殺しちゃう……」

座来栖は、涙を流しながら頷くとゆっくりと銃を構えます。

「魔力を籠めて撃ってね。
 その銃は、私だと思って大事にしてね……」

「わかった……」

「ごめんね。
 バイバイ。」

虚しい銃声と共に、利奈の体はゆっくりと崩れました。
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