不老に剣士

はらぺこおねこ。

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Scene04 あなたへ

74 美味しい再生紙

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こことは少し違う世界。
ある森の中に光り輝く金色の瞳を持つ一族がいました。
金色一族。
彼らの目は、綺麗でいて魔力を増幅させる効果があるため希少価値が高かったのです。
これまでも、彼らの瞳を目当てに数多くの盗賊たちが襲いにきましたが……
金色一族自身の魔力も高く、そんな彼らを返り討ちにしていました。
そして、今日……
ひとりの金色一族の若者が、旅立ちます。

「いよいよ主は、今日旅立とうとしている。
その旅でを祝って、この瓶底眼鏡を贈呈しよう」

村長がそう言って瓶底眼鏡を若者に渡します。
若者は、そのメガネを受け取ると村長が言葉を続けます。

「さて、金色一族ではおねこ一族の誰かを旅の共に連れて行くしきたりになっておる。
主は、誰を連れて行く?」

すると若者は静かに答えます。

「はい。
僕は、13さんと旅にでたいです」

すると1匹のおねこ一族のねこが若者のほうを見ます。

「僕でいいの?」

13と呼ばれるねこが若者のほうを見ます。

「うん。
おんなじ僕っ子同士ですし。
何より幼なじみですからね」

若者が、そう言って笑うと13は、小さくうなずきます。

「そっか。
じゃ、よろしく」

それを聞いた若者も小さくうなずきます。

「こちらこそです」

若者がニッコリと笑います。

「そうだね。
じゃ、どこに行く?」

13は、そう言って空を歩きます。

「そうですね
廃墟図書館に興味があるんですが……」

「廃墟図書館?
本でも読むの?」

13が、そう尋ねると若者がうなずきます。

「はい
ちょっと読みたい本がありまして、あと武器になる本があるらしいんです」

若者がそう答えると13が笑います。

「君は根っからの武器マニアだね」

すると若者はこう返しました。

「13さんには、負けますよ」

若者と13が、小さく笑います。

――廃墟図書館

若者と13は、図書館にて本を探します。

「わぁー
色んな本がありますねぇー」

若者が、嬉しそうに声を上げる。

「君ってホント、本の虫だね」

13が、そう言うと若者のほうを見ます。
すると若者が本をむしゃむしゃ食べています。

「ん?呼びました?」

「いや、呼んでないよ。
僕は、本を読んでいるよ」

13は、ちらっと若者のほうを見ました。
若者は、本を無心で食べています。

「……ねぇ、本って美味しい?」

13は、ほんの出来心で尋ねます。
すると若者が答えました。

「はい、この本は、パリパリしてて塩加減が絶妙で美味しいですよ」

「塩……?」

「あ、はい。
この本を全部食べると魔法が覚えれるんですよ。
古い図書館なのであると思っていたのですがあってよかったです」

若者が小さく笑います。

「魔法を覚えれる本?」

「はい」

若者は、そう言って最後の1ページを食べ終えました。

「……そか」

すると本のページがすぐに再生します。

「うわ!13さん。
この本、再生紙ですよ!」

「そか……でも、それはちょっと意味が違う気がする」

13は、そう言って苦笑いを浮かべました。

若者は、2冊目の本に手を当てます。

「え?まだ食べるの?
お腹いっぱいにならない?」

13が、そう尋ねると若者が答えます。

「この本、いくら食べてもお腹が膨れないですよ」

若者は、そう言って本のページをちぎりそれを口に運びます。

「……美味しい?」

13が、そう尋ねると若者は首を横にふります。

「ちょっと味がうすいな。
この本、レタスの味に近い。
マヨネーズをかけると美味しいかも」

「本にマヨネーズ?」

13が、動揺を隠せません。
若者は、目の前の空間を歪ませそこからマヨネーズを手に取ります。
そして、本にマヨネーズをかけるとそれをバリバリと食べます。

「うん。
美味しい」

若者は、嬉しそうに笑って本をむさぼります。

「その本は、食べたらどんなメリットあるの?」

「ここの本は、回復魔法が多いのできっとこの本も回復魔法だと思うよ」

「そっか」

「13さんも、よかったら食べなよ。
この本再生紙だし、回復魔法を覚えれるし便利だよ」

「んー。
僕は回復魔法は、いくつか持っているからいいや……」

「そう?
勿体ない」

若者は、そう言って笑うとその本を食べ終えました。
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