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12 めいやくのとき
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「私、いっぱいがんばる……
コホコホコホ……」
「ああ。
わかったわかったから」
もう話さないで。
これ以上つらい愛の姿を見たくない。
そう言いたかった。
だけど言えなかった。
苦しいはずなのに愛の表情が、あまりにも……
あまりにもしあわせそうだったから……
「お弁当を作って……
みんなでピクニックに行くの」
「そうだね。
みんなで行こうね」
「私にお姉ちゃんとお兄ちゃん。
そして、私たちの子ども、みんな笑顔なの。
私が、作ったおにぎりを食べるの……」
「愛は、おにぎりを作る名人だもんね。
しあわせものだね、僕は……」
「うん。
それでね、それで……」
愛が、とても苦しそう。
話すたびに「ハァハァ」と息を切らしている。
頼むから、もう話さないで。
お願いだから、話さないで。
話すから苦しいんだよね?
話すのつらいんだろ?
元気になったら、いっぱい聞くから。
いっぱい話せるんだから。
今は……
「それでね。
それで……」
「うん」
「お兄ちゃん」
愛は、苦しいはずなのに苦しい顔など一切見せず。
ひたすら笑顔を貫いた。
愛は、大きく息を吸い込んだ。
コホコホコホ……」
「ああ。
わかったわかったから」
もう話さないで。
これ以上つらい愛の姿を見たくない。
そう言いたかった。
だけど言えなかった。
苦しいはずなのに愛の表情が、あまりにも……
あまりにもしあわせそうだったから……
「お弁当を作って……
みんなでピクニックに行くの」
「そうだね。
みんなで行こうね」
「私にお姉ちゃんとお兄ちゃん。
そして、私たちの子ども、みんな笑顔なの。
私が、作ったおにぎりを食べるの……」
「愛は、おにぎりを作る名人だもんね。
しあわせものだね、僕は……」
「うん。
それでね、それで……」
愛が、とても苦しそう。
話すたびに「ハァハァ」と息を切らしている。
頼むから、もう話さないで。
お願いだから、話さないで。
話すから苦しいんだよね?
話すのつらいんだろ?
元気になったら、いっぱい聞くから。
いっぱい話せるんだから。
今は……
「それでね。
それで……」
「うん」
「お兄ちゃん」
愛は、苦しいはずなのに苦しい顔など一切見せず。
ひたすら笑顔を貫いた。
愛は、大きく息を吸い込んだ。
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