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10 さよならのあめ

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「いるよ」

「そうですか……」

 水谷さんの声のトーンが下がる。

「その子の名前はね水谷奈々って言うんだ。
 内緒だよ?誰にも言わないでね」

 水谷さんの顔が、みるみる赤くなる。
 僕も、自分で言って恥ずかしい。

 こんな、告白の仕方。
 バカみたいだ。
 いや、僕は実際バカだけどさ。

「約束して下さい」

「え?」

「どこにも行かないって……」

「うん」

「約束して下さい。
 私から離れないって……」

「うん」

「大切にしてくれますか?」

「もちろん!」

 僕は、あいつらとは違う。
 でも、なんだろう?
 でも、なぜだろう?
 涙が溢れる。

 水谷さんが作った味噌汁の汁がしょっぱく感じる。
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