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Scene.04 勇気の鈴が鳴るとき

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 そして、大砲を放つ。
 大砲の弾は、勇気の方に向かって飛んで行く。
 それをブリ男がバリアで防ぐ。

「それは、させませんよ」

「俺の大砲を防いだだと?
 お主は何者だ?」

「何者って……
 僕はブリ男ですよ?
 先ほど貴方もおっしゃっていたじゃないですか……」

「そうか……
 お前がブリ男……」

「はい?」

「誰でもいい。
 俺はお前らを殺す」

「私は、誰にも殺されないですわ」

 勇気が、そう言って竹刀を構える。

「飛び道具相手に、竹刀か?
 笑わせてくれる」

 ブルースが、そう言って豪快に笑う。

「貴方、おかしいですね」

「何がだ?」

「言っていることが支離滅裂じゃないですか?
 記憶も曖昧なようですし……」

「そんなことはどうでもいい。
 俺はブルース。
 お前らを殺しハタハタ様に褒めてもらうのだ!」

 ブリ男が少し考える。

「ハタハタは、そんなことで褒めたりはしませんよね?
 貴方は本当に名前を持つ怪人なのですか?」

「俺は、ブルース!
 フィサフィー様より名を頂戴した存在なり!」

 ブリ男は、その名を聞いて驚く。

「フィサフィー……ですか。
 星をめぐるもの……血霧のフィサフィー」

「フィサフィー様より名前を頂いた俺は、いずれボクを殺し世界を破滅させるのだ!」

 ブルースが、そう言って何発も大砲を放った。
 ブリ男は、その大砲の弾をバリアで防ぐ。

「そんなわけでお嬢さん。
 僕と契約して魔法少女になりませんか?」

「何を言っていますの?
 魔法少女なんてアニメの見過ぎじゃありませんこと?」

「そうでもありませんよ。
 実は、貴方の学校にも魔法少女がいるんですよ?」

 ブリ男の言葉に勇気は驚く。

「それ……本当ですの?」

「はい。
 ちなみに魔法を使う男の子もいますよ。
 さぁ、早めに僕と契約して魔法少女になってください。
 えっと……」

「私は、水谷 勇気ですわ」

「勇気さんですね。
 いい名前ですね。
 では、勇気さんこの書類に名前を書いて魔法少女になってください」

「魔法少女になれば、あのブルースを倒せますの?」

「倒せません。
 ですが、追い返すことはできるかもしれません」

「そうですの……」

「名前を持つ怪人は、強いですからね……
 あんな姿をしていますが、そのへんの魔法少女なんて瞬殺しちゃいます。
 でも、貴方なら才能があります。
 倒せはしませんが、重症を負わせることがもしかしたら……」

「わかりましたわ。
 魔法少女にもなんにでもなってさしあげますわ」

「ありがとうございます」

 ブリ男が、ニッコリと笑うと言葉を続ける。

「契約成立です」

 すると勇気の中で何かが目覚めた。
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