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Scene.04 勇気の鈴が鳴るとき

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「知り合いの精神科の病院を紹介してさしあげましょうか?」

 勇気が、ブリ男にそう尋ねた。
 ブリ男は困った顔で言葉を放つ。

「いえ、本当に僕は悪魔ですよ?」

「悪魔は、自分で悪魔と名乗りますの?」

「まぁ、悪魔は名乗るんじゃないでしょうか?
 取引のときに名乗るのが暗黙の了解になっていますし……」

「そうなのですの?
 私、悪魔にはそんなに詳しくありませんの」

 勇気は、そう言って目を閉じる。
 そして、次に目を開けたときそこには殺気が込められていた。

「で、その悪魔が私になんのようなのかしら?」

「魔法少女ブリキュアになりませんか?」

「……ブリ?」

 勇気の顔が困惑している。

「はい、ブリキュアです」

「もしかして、ナンパですの?
 それとも……」

 勇気が、そこまで言いかけたときブリ男の体を引っ張る。

「おや?
 大胆ですね……」

 ブリ男が、そう言うと先ほどブリ男がいた場所に大穴が開いている。

「ち……
 仕留め損なったか……」

 そう言って怪人が現れる。

「おや?貴方は?」

 ブリ男が、その怪人に尋ねる。

「俺の名前は、ブルース。
 大砲使いのブルース」

 それを聞いたブリ男が、勇気の方を見る。

「お嬢さん、今すぐここから離れてください。
 あの怪人は、先ほどの雑魚とは違います」

「おい、ブリ男。
 お前が我が同胞を殺したのか?」

「はて……なんのことやら」

 ブリ男は、小さく笑った。

「逃げるの方は、貴方の方ですわ。
 あんな意味の分からないバケモノ!
 私が倒して差し上げますわ!」

「女が?俺を……?
 ほざくがいい。
 お前などこの大砲で潰してしてやろう!」

 ブルースが、そう言って大砲を構えた。
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