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Scene.04 勇気の鈴が鳴るとき

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 薄暗い街の中。
 ひとりの少女が男たちに囲まれている。
 少女の名前は、水谷 勇気。
 鰤虎学園の1年生、剣道部でポニーテールの似合う可愛らしい女の子だ。

「ねぇ、お姉さん。
 俺らと一緒に遊ばない?」

 男たちが、ニヤニヤ笑いながら勇気に迫る。

「お断りしますわ」

 勇気が、そう言ってその場から離れようとしない。

「ねぇ、待ちなよ。
 君、鰤虎学園の子でしょ?
 俺らと遊ばないと退学にさせちゃうぞ」

 男のひとりが、そう言うと勇気が首を傾げる。

「あら、貴方にそんな権限がありますの?」

「俺の親、政治家なんだよね。
 君が援助交際したと言う噂を流せば君、退学どころじゃすまないよ?」

 男は、そう言って小さく笑う。

「それは、困りますわね」

「だろ?
 だったら……」

 男が、そこまで言いかけたとき表情が一瞬で凍りつく。

「だったら、なんですの?」

 勇気が、そう言って男たちを睨む。
 男たちは、蜘蛛の子を散らすようにその場から離れる。

「ば、バケモノ!!」

 勇気の後ろには、怪人が立っていた。

「誰がバケモノなのですの?」

 勇気が、そう言って怒鳴る。

「赤ハッター共!
 その女を燃やせ
 逃げた男たちも燃やすのだ!」

 怪人が、そう言うと赤ハッターが火を吹きながら勇気に向かって駆け寄ってきた。
 勇気は、背中に背負っていた竹刀を抜くと赤ハッターのアゴに一撃浴びせた。
 赤ハッターは、ダメージを受ける。
 そして、2撃目、3撃目とダメージを与えそして6撃目で赤ハッターを倒した。

「赤ハッターを倒しただと!?
 人間如きが?」

 勇気は、他の赤ハッターを睨む。

「ここは、火器厳禁ですわよ」

「女が!
 怯むな赤ハッターよ!
 あの女を燃やして灰にするのだ!」

 それを聞いた赤ハッターは、集団で火を吹きながら勇気の方に向かって走ってくる。

「わからない人たちですわね!
 火事になったらどうするのですの?」

 勇気が、そう言って赤ハッターたちを竹刀でなぎ払う。

「何を言っているのだ!
 この街を火の海にするためいに我らは参上したのだ!」

 怪人が、そう言うと勇気は竹刀を怪人の方に向ける。

「どうやら、貴方からお仕置きが必要なようですわね!」

 そして、勇気は怪人の方に向かって駆けた。

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