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Scene.03 清らかな空

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 ――放課後

 早良たちは、屋上に集まる。

「早良、部活はいいのか?」

 清空が、早良に尋ねる。

「うん。
 今日は、休むって先輩に言っちゃった。
 清空ちゃんこそ大丈夫?」

「ああ。
 私も休むと言った」

「近藤くんたちは?」

「俺とボクは、帰宅部だ。
 なんの問題もない」

「そっか……」

 早良が、小さく頷く。

「さて……
 今、集まっていただいたのには理由があります」

 ブリ男が、そう言って扇子を広げる。

「理由……だと?」

 無が、首を傾げる。

「はい。
 恐らく、ハタハタ軍はこの学校を標的にしてくるでしょう。
 今の貴方たちでは奴らに取ってみれば経験値にしかすぎません」

「経験値か……」

 ボクが、寂しそうな表情で答える。

「経験値になるのは、ボクさんだけではないってことです。
 早良さんも清空さんも、もちろん無さんも倒されれば経験値になります。
 なので、各自負けないこと死なないこと、それを優先して戦うのです」

 ブリ男が、そう言うと無が言う。

「まぁ、俺は命をかけてボクを護るけどな」

「そんな……そんな価値、僕にはないよ」

 ボクは、うつむく。

「あなた自身にその価値がないと思っていても、あなたを狙うハタハタ軍には価値はあります。
 あなたを倒せば大量に経験値が入るのですから……」

 ブリ男は、そして何かを言おうとして止めた。

「まぁ、ボクは殺させないさ。
 俺の影の能力があればハタハタなんて全滅だ!」

 無がそう言って白い歯を見せた。

「ですが、無さん。
 あなたはひとりです。
 無さんがいないときは、どうなりますか?
 複数の名のある怪人が、襲ってきたとき。
 無さん貴方ひとりでは太刀打ちできないでしょう」

「そのときは、私も護る」

 清空が、そう言うと早良もうなずいた。

「私も護ります」

 それを聞いたブリ男は、深く頷く。

「それはとっても頼もしいのですが、どうしても人数不足ですね……」

「そうか?
 スリーマンセルでなんとかならないのか?」

 無が、そう尋ねるとブリ男は小さくうなずいた。

「そうですね。
 強い人を味方につけましょう」

「誰か心あたりがあるのか?」

 清空は、ブリ男にそう尋ねる。

「そうですね。
 ブリキュアを追加しましょう!」

 ブリ男は、そう言って笑いながら扇子をパタパタと仰いだ。
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