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Scene.03 清らかな空

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「ふぅ……
 まさかフィサフィーが現れるとは……
 死ぬかと思いました」

 ブリ男は、そう言ってため息をつくとスカイハートの方を見た。

「手も足も出なかった……」

 スカイハートは、がっくりと肩を落とした。

「まぁ、名前のある怪人でしたからね。
 そう簡単に倒せるのなら苦労はしません」

 ブリ男がそう言うと無が尋ねる。

「にしても、お前強いんだな。
 お前が戦えばハタハタ軍なんて倒せるんじゃないのか?」

「ご冗談を……
 僕の能力は、ギフトプレゼント。
 自分以外の誰かに力を授けるモノです。
 本来は戦闘向きではありません……」

「でも、名前のある怪人を追い詰めることができたじゃないか?」

「その程度です。
 ハタハタの力はそれ以上です。
 僕の力は、そうですねぇ。
 先ほどのフィサフィーの100分の1程度ほどです」

「そんなに強いのか?
 あの爺さん」

「はい……とっても」

 ブリ男が苦笑いを浮かべた。

「そんな人に勝てるのかな?」

 サーラが小さな声で尋ねる。

「勝たなければ負けます。
 負けは人類の破滅を意味します」

 ブリ男のその言葉を聞いたサーラの表情が曇る。

「そう……ですよね」

「大丈夫だ。
 サーラ、私たちも強くなればいい」

 スカイハートが、そう言うとニッコリと笑った。

「清空ちゃん?」

「え?」

 スカイハートが、驚く。

「貴方、清空ちゃんだよね?」

「どうしてわかるんだ?」

 スカイハートが驚く。

「サーラさんの特殊能力は、サーチですね。
 相手の弱点や特質を見抜く力です」

「そんな能力がサーラに?」

 スカイハートが、そう言うとブリ男が頷く。

「はい。
 と言ってもこれは、サーラさん……いえ、早良さんがも元々持っていた能力です。
 早良さんは、嘘を見抜くのが得意だったのではありませんでしたか?」

「言われてみればそうだな」

 スカイハートが頷く。

「とりあえず、今は変身を解除した方がいいでしょう。
 生徒たちもそろそろ集まってきますので……」

「ああ、わかった」

 サーラとスカイハートが変身を解除した。

「で、無さん。
 ボクさんは、どこに?」

 ブリ男が、そう尋ねるとボクがゆっくりと現れる。

「僕ならここだよ」

「おやおや、姿を消すの上手になりましたね」

「はい」

 ボクは、小さくうなずいた。

「では、教室に向かいましょう。
 続きは放課後にでも……」

 ブリ男がそう言うと一同は教室へと向かった。
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