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Scene.03 清らかな空

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「面白い……
 ならばやってみるがいい!」

 ジュウが、そう言ってブリ男から間合いを取る。

「貴方程度の怪人。
 僕がその気になれば瞬殺ですよ」

 ブリ男が、そう言って拳を構える。
 そして、ジュウとの間合いをつめる。

「お前が俺を……?
 サラリーマン程度のやつがか?」

 ジュウが、そう言うとブリ男が小さな声で答える。

「僕を知らない時点で貴方は負けています」

「なら、見せてもらおうか?
 お前の実力とやらを!」

 ジュウが、そう言うと雄叫びを上げる。

「いいでしょう。
 来てください」

 ブリ男の姿が消える。
 ジュウの背後にまわる。
 そして、ジュウの背中に掌底を浴びせる。

「俺より早いだと?」

 ジュウが、そう言うとブリ男から間合いを取ろうとする。
 しかし、ブリ男は、それを許さない。
 ブリ男は、さらに速い動きでジュウを攻める。

「……まぁ、貴方程度の怪人なら、僕ひとりで十分です」

 ブリ男が、そう言ってジュウに何度も攻撃を仕掛ける。

「ぐ……が……」

 ジュウが悲鳴にならない声を上げる。

「さぁ、トドメです!」

 ブリ男が、手に魔力を込める。
 そして、一撃を浴びせようとしたとき、ブリ男の体に火の玉が襲う。

「すまないが、そいつはウチのモノでのう……
 簡単に殺させては困るのじゃ」

 ひとりの老人が現れた。

「貴方は、フィサフィー?」

 ブリ男が、その老人と間合いに入る。
 そして、一撃を浴びせようとした。
 しかし、老人の杖でそれが防がれた。

「そう、ワシの名前はフィサフィー。
 ハタハタさまの忠実な下僕じゃ」

 フィサフィーは、そう言ってブリ男の体に一撃を浴びせる。

「く……」

 ブリ男の体が大きく後退する。

「さて、ジュウよ……
 ハタハタさまが緊急収集をかけた。
 戻るぞ」

「御意……」

 ジュウが、そう返事をするとゆっくりとブリ男の方を見る。

「お前が俺が必ず倒す!」

 ジュウは、そう言い残すと姿を闇に溶かしそして消した。
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