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Scene.02 影のない男

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 ――放課後

「先ほど、親父に連絡したら超格安友だち料金で寿司を提供してくれるそうだ」

 無が、そう言うと清空が喜ぶ。

「寿司か……
 久しぶりだな。
 楽しみだな!って早良は、そうでもないか……
 お父さん、漁業組合の関係者なんだよな?」

「うん。
 でも、何を食べたかが問題じゃないよ。
 お寿司はみんなで食べるから美味しいんだと思う」

「そうだな……
 なんなら親父に頼んで手巻き寿司を頼もうか?」

 無が、そう言うとブリ男が反応する。

「手巻き寿司とはなんですか?」

「ブリ男、手巻き寿司知らないのか?」

「はい。
 なんでしょう?」

「うむ。
 なら、手巻き寿司に決定だな」

 無が、そう言って笑う。

「楽しみだな!」

 清空も笑う。

「ボク、お前も来いよ?
 親父もお袋もお前のことを心配してる」

「そうだね……
 久しく会ってないね。
 お呼ばれしようかな」

 ボクが、小さくうなずく。

「ああ、喜ぶと思うぞ」

 無が、ニッコリと歯を見せる。

「うむ。
 手巻き寿司。
 事前にスマホで検索しておきましょうか……」

 ブリ男が、そう言うと無が答える。

「ま、簡単に言うと寿司ネタと飯をノリの上に乗せて巻くヤツだ」

「わかったような……
 そうでないような……」

 ブリ男が首を傾げる。

「ま、見て触って作ればわかるだろう」

 無が、そう言うとブリ男はうなずいた。

「わかりました。
 楽しみにしています」

 ブリ男が、小さく笑う。

「じゃ、全員俺の家に来い」

 無のその言葉を合図に一同は、無の家に向かった。
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