マーメイド

05 振り上げた拳

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「私、月波月六と申します。
　皆様、ウイルス兵器の味はどうでしたか？
　といいましても今回の兵器は弱めでしたので思ったより死者は少なかったですね」

月六がその声をラジオで流す。

人々は恐怖を思い出す。
死ぬかもしれない。
殺されるかもしれない。
そんな思いは二度としたくない。

「さてここからはじまるのは脅迫の時間です。
　ここにミサイルの発射ボタンがあります。
　凶悪で凶暴な殺人ウイルスがあります。
　名前はありません。
　この恐怖のミサイルを放たれたくなければ。
　桐崎七道という男を捕まえエルフに引き渡してください。
　1週間の猶予を与えます。
　死にたくなければ全力で捕まえてください」

ラジオから流れたその音声は録音され。
テレビでも報道された。

ネットでも拡散され……
同姓の人が殺されるという事件も起きた。

「困ったな」

ここに困っている男がいる。

「お父さんの力でこの人を捕まえることは出来ないの？」

「特定することは出来るよ。
　でもどうしてこの人を捕まえなければいけないのか。
　わからないからね」

男は父である。
娘の年齢は4歳。

「そっかー
　自由にはわかんないや」

娘の名前は自由。
どこにでもいる元気な女の子だ。

そして父の名前は久留里　十三。
高校の教師をしていて世界で最も強い科学者と言われている。