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03 大好き
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梨麻は、言葉に困る。
どんな顔をしていいかわからない。
喧嘩ばかりしている自分。
そして、成功しお金を稼いでいる壱。
そんな対極的な相手にどんな顔をしていいかわからなかった。
人は変わるもの。
変わらない人も中に入る。
でも、そんな人間は極わずか。
変わっていく環境と変われない自分。
梨麻は、その感情に苛立ちを覚えていた。
「壱さんは、変わったっすね」
梨麻は、皮肉を込めてそう言った。
すると壱は、言った。
「そっかな?
自分では、気持ちはまだまだ若いよ」
「そうっすか?」
梨麻は、そんな嫌味な自分のことが嫌になった。
「うん。
まぁ、お金は稼げるようにはなったけど……
でも、それを維持することで精一杯だよ」
「お金稼げるって凄いじゃないっすか」
「まだまだこれからだよ。
満足したら成長がそこで止まってしまうから……ね」
「そうっすね」
会話が止まる。
静寂が生まれる。
どうしていいかわからない。
どうすれば自分も壱のように前を向いて歩けばいいかわからない。
「ふぅ……
実は僕、まだ童貞なんだ」
突然の壱の告白により梨麻は驚く。
「なんのカミングアウトっすか?」
「童貞のカミングアウト……
僕は、奈々ちゃんの死から逃げるように働いてきた。
逃げて逃げて逃げてそして今に至る。
でも、梨麻くんは何かと戦って戦って戦って今に至る。
そうじゃないかな?」
「戦う……か……
そんな大層なことはしてないっすよ」
「そっかな?
君の戦う姿、どこか淋しげだったよ?」
梨麻が、再び黙る。
「ふぅ……
こんなところで男同士でなにをしているのですか?」
美知子が、缶コーヒーをみっつ持って現れる。
「あ、美知子さん」
壱が、小さな声でそう言った。
「彼女が彼女じゃないんですか?」
梨麻の言葉が、どこかきつい。
自分でもダメだとわかっていた。
だけど、奈々を過去の女にされるのはもっと嫌だった。
そんな思いで梨麻が放った言葉は、壱の心には響かなかった。
「彼女……じゃないよ。
この人は美知子さん。
海道美知子さん。
僕の秘書だよ」
壱は笑顔でそう言った。
どんな顔をしていいかわからない。
喧嘩ばかりしている自分。
そして、成功しお金を稼いでいる壱。
そんな対極的な相手にどんな顔をしていいかわからなかった。
人は変わるもの。
変わらない人も中に入る。
でも、そんな人間は極わずか。
変わっていく環境と変われない自分。
梨麻は、その感情に苛立ちを覚えていた。
「壱さんは、変わったっすね」
梨麻は、皮肉を込めてそう言った。
すると壱は、言った。
「そっかな?
自分では、気持ちはまだまだ若いよ」
「そうっすか?」
梨麻は、そんな嫌味な自分のことが嫌になった。
「うん。
まぁ、お金は稼げるようにはなったけど……
でも、それを維持することで精一杯だよ」
「お金稼げるって凄いじゃないっすか」
「まだまだこれからだよ。
満足したら成長がそこで止まってしまうから……ね」
「そうっすね」
会話が止まる。
静寂が生まれる。
どうしていいかわからない。
どうすれば自分も壱のように前を向いて歩けばいいかわからない。
「ふぅ……
実は僕、まだ童貞なんだ」
突然の壱の告白により梨麻は驚く。
「なんのカミングアウトっすか?」
「童貞のカミングアウト……
僕は、奈々ちゃんの死から逃げるように働いてきた。
逃げて逃げて逃げてそして今に至る。
でも、梨麻くんは何かと戦って戦って戦って今に至る。
そうじゃないかな?」
「戦う……か……
そんな大層なことはしてないっすよ」
「そっかな?
君の戦う姿、どこか淋しげだったよ?」
梨麻が、再び黙る。
「ふぅ……
こんなところで男同士でなにをしているのですか?」
美知子が、缶コーヒーをみっつ持って現れる。
「あ、美知子さん」
壱が、小さな声でそう言った。
「彼女が彼女じゃないんですか?」
梨麻の言葉が、どこかきつい。
自分でもダメだとわかっていた。
だけど、奈々を過去の女にされるのはもっと嫌だった。
そんな思いで梨麻が放った言葉は、壱の心には響かなかった。
「彼女……じゃないよ。
この人は美知子さん。
海道美知子さん。
僕の秘書だよ」
壱は笑顔でそう言った。
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