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02 繋ぐ手
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ピノが見た景色は、生まれて初めてのもので暗い監獄のなかとは違った。
ピノの頭のなかに前の主人のことが頭をよぎる。
思い出すだけで震える。
そんな世界。
ちっぽけだけど恐ろしく震える世界。
なにもない闇の中に差し出されたのは冷たい手。
温もりはあるが冷たい手。
思い出したくもない初夜。
痛くつらい思いしかしなかった。
その主の趣味で、幼い容姿とそのまま成長しない体を持って生を得た。
だから、ふと思う。
壱が、その主と同じようにロリータ・コンプレックスなのではないかと……
いつ自分が前の主人のように犯されるかわからない。
ただ、ただ。
恐怖した。
ピノはただ震えるしか出来ない。
なにも出来ない。
そんな自分に嫌気が差した。
「ピノ?どうした?
高い所は苦手だった?」
だが、その間抜けな壱の声に少しだけ癒される。
そんなことを感じる自分を嫌悪する。
だから自分もマヌケな口調で言葉を返す。
「そんなことないよー
ピノ高いところ好きー」
そう、自分よりも遥かに歳下の男にあたかも自分が歳下であるように見せる。
ピノはそんな自分が嫌いになった。
「そっか」
壱は、静かに歩く。
自分が、そんなことを思っている。
そんなことなど一切気づかずただ歩む。
だから、ふと思う。
「ねぇ、壱。
壱はどこまで歩くの?」
「どこって家だよ。
って……あ、美智子さんを家に送らなくちゃ……」
壱は、そう言って空を見上げる。
「いえ、私のことはお構いなく……」
美知子は、遠慮がちにそう言った。
「じゃ、美知子さんも壱の家に帰ればいいんだよー」
ピノは、無邪気な顔でそう言った。
自分で、童貞を捨てられる前に美知子で童貞を捨てれば自分には危害が及ばない。
そう考えたのだ。
童貞をすてるまでは、優しくしてくれるかもしれない。
しかし、その回数を重ねることで冷たくなるだろう。
暖かく冷たい手。
性のはけ口。
そうなることだけは、どうしても避けたい。
だから、美知子にその身代わりになってもらおうと思ったのだ。
「え?私が社長の家に行くのですか?」
「うん!
美知子さんも、一緒に寝よう!」
ピノが、とびっきりの笑顔でそう言った。
「えっと……壱さんの迷惑になるのでは?」
すると壱は少し照れる。
「べ、別に迷惑じゃないよ……」
「な、なに照れているんですか!
お兄ちゃんって呼びますよ!」
「……お兄ちゃんって呼んだらお姉ちゃんって呼ぶよ?」
壱が、そう言うと美知子が少し照れる。
「構いませんよ?
別に、お姉ちゃんって呼んでもらっても!」
「美知子お姉ちゃん」
壱が、そう言って笑った。
「って!前に名前を入れないでください!
それだとまるで私のほうが歳上みたいじゃないですか!」
すると壱が、小さく言う。
「ピノ走るよ」
「え?」
壱は驚くピノをよそにそのまま走った。
ピノは、そんな壱の行動が理解できなかった。
「って、逃げるなー!!」
美知子もそれを追いかける。
明らかに本気を出せば追いつくスピードに美知子は追いつかないスピードで走っている。
そんな美知子の行動もピノには理解できないでいた。
ピノの頭のなかに前の主人のことが頭をよぎる。
思い出すだけで震える。
そんな世界。
ちっぽけだけど恐ろしく震える世界。
なにもない闇の中に差し出されたのは冷たい手。
温もりはあるが冷たい手。
思い出したくもない初夜。
痛くつらい思いしかしなかった。
その主の趣味で、幼い容姿とそのまま成長しない体を持って生を得た。
だから、ふと思う。
壱が、その主と同じようにロリータ・コンプレックスなのではないかと……
いつ自分が前の主人のように犯されるかわからない。
ただ、ただ。
恐怖した。
ピノはただ震えるしか出来ない。
なにも出来ない。
そんな自分に嫌気が差した。
「ピノ?どうした?
高い所は苦手だった?」
だが、その間抜けな壱の声に少しだけ癒される。
そんなことを感じる自分を嫌悪する。
だから自分もマヌケな口調で言葉を返す。
「そんなことないよー
ピノ高いところ好きー」
そう、自分よりも遥かに歳下の男にあたかも自分が歳下であるように見せる。
ピノはそんな自分が嫌いになった。
「そっか」
壱は、静かに歩く。
自分が、そんなことを思っている。
そんなことなど一切気づかずただ歩む。
だから、ふと思う。
「ねぇ、壱。
壱はどこまで歩くの?」
「どこって家だよ。
って……あ、美智子さんを家に送らなくちゃ……」
壱は、そう言って空を見上げる。
「いえ、私のことはお構いなく……」
美知子は、遠慮がちにそう言った。
「じゃ、美知子さんも壱の家に帰ればいいんだよー」
ピノは、無邪気な顔でそう言った。
自分で、童貞を捨てられる前に美知子で童貞を捨てれば自分には危害が及ばない。
そう考えたのだ。
童貞をすてるまでは、優しくしてくれるかもしれない。
しかし、その回数を重ねることで冷たくなるだろう。
暖かく冷たい手。
性のはけ口。
そうなることだけは、どうしても避けたい。
だから、美知子にその身代わりになってもらおうと思ったのだ。
「え?私が社長の家に行くのですか?」
「うん!
美知子さんも、一緒に寝よう!」
ピノが、とびっきりの笑顔でそう言った。
「えっと……壱さんの迷惑になるのでは?」
すると壱は少し照れる。
「べ、別に迷惑じゃないよ……」
「な、なに照れているんですか!
お兄ちゃんって呼びますよ!」
「……お兄ちゃんって呼んだらお姉ちゃんって呼ぶよ?」
壱が、そう言うと美知子が少し照れる。
「構いませんよ?
別に、お姉ちゃんって呼んでもらっても!」
「美知子お姉ちゃん」
壱が、そう言って笑った。
「って!前に名前を入れないでください!
それだとまるで私のほうが歳上みたいじゃないですか!」
すると壱が、小さく言う。
「ピノ走るよ」
「え?」
壱は驚くピノをよそにそのまま走った。
ピノは、そんな壱の行動が理解できなかった。
「って、逃げるなー!!」
美知子もそれを追いかける。
明らかに本気を出せば追いつくスピードに美知子は追いつかないスピードで走っている。
そんな美知子の行動もピノには理解できないでいた。
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