ジンクス～雨時々曇り

Scene.03 うたうよころび

65 みんな大好き

「海夜ちゃんレポート！！」

海夜が峰子と蜜柑が集めた情報をもとに発表を始める。

「最年少は、４歳！
　最年長は、85歳！」

「年齢差ありすぎだな……」

百道が思わず声を上げる。

「さて名探偵一くんは、お爺さんの名前を賭けてなにを歌えばウケると思う？」

葉月がそう言って一に尋ねる。

「お爺ちゃんの名前は賭けないよ。
　売名行為じゃん」

「賭けると売るは、違いますよー」

蜜柑が小さく笑う。

「まぁ、そうなんだけど。
　僕は、となりのトトロがいいと思う」

「トトロ？」

葉月が驚く。

「でも、85歳の人に受けるかな……」

「ふふふふふ……
　トトロの人気を舐めたらいけませんぜ！」

峰子が言う。

「まぁ、宮崎さんが言うのなら信じるけど……」

「よし！じゃ、いっちょ行ってくるか！」

百道が言う。

「どこへ？」

みさきが首を傾げる。

「ん？宴会場。
　18時半出演だろ？」

「食事が18時半からじゃ……」

「百道くん正解」

「え？」

十三がそう言ってメンバーを呼びに来た。

「それは何かがはじまろうとしていた合図だった」

自由がそれっぽいナレーションをいれる。

「いや、歌の始まりだよ」

十三の言葉とともにそれぞれ楽器を持ち。
峰子のドラムセットは百道も運んだ。

「さぁ、みなさん！
　お歌の時間だよー」

海夜がそう言って宴会場を盛り上げる。
そうその夜。
何かがはじまる。

そんなことは誰も知るよしもなかった。