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Scene07 コインロッカーの女の子
169 しばく
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「これが私と姉の話」
由香が小さく言う。
茂重は言葉を失う。
十三は思わず『大変だったね』といいかけた。
でも言わなかった。
「大変だったのは私じゃなくてお姉ちゃんだよ」
十三の心を読んだかのように由香は言った。
「そうだね」
十三はうなずくしか出来ない。
「十三さん」
「なにかな?」
「茂重さん」
「なんだい?」
「私のパパを探してください」
「探してどうするんだい?」
「しばく」
「え?」
「しばく」
由香が小さく言う。
目に涙を浮かべる。
「殴るの?」
「うん、そして言うんだ。
『愛している』って」
「愛しているの?」
十三の言葉に由香は首を傾げる。
「変かな?
だって私のパパだもの」
「そっか。そうだよね。
変じゃないよ」
十三はしっかりと由香の目を見ていった。
「一緒にアンパンマン見るんだ。
たこ焼き食べるんだ。
ホットケーキを作ってもらうんだ。
あとコロッケも」
十三は感じた。
姉と同じことをやってほしいのだろうと。
「そっか。叶うといいね」
ちょっと変わった子だと思ったけれど。
どこにでもいる愛に飢えた子どもなのだ。
十三はそう思った。
「だってお姉ちゃんが、すごく勧めてくるんだよ」
その言葉で由香は少し変わった子かもと思い直した。
由香が小さく言う。
茂重は言葉を失う。
十三は思わず『大変だったね』といいかけた。
でも言わなかった。
「大変だったのは私じゃなくてお姉ちゃんだよ」
十三の心を読んだかのように由香は言った。
「そうだね」
十三はうなずくしか出来ない。
「十三さん」
「なにかな?」
「茂重さん」
「なんだい?」
「私のパパを探してください」
「探してどうするんだい?」
「しばく」
「え?」
「しばく」
由香が小さく言う。
目に涙を浮かべる。
「殴るの?」
「うん、そして言うんだ。
『愛している』って」
「愛しているの?」
十三の言葉に由香は首を傾げる。
「変かな?
だって私のパパだもの」
「そっか。そうだよね。
変じゃないよ」
十三はしっかりと由香の目を見ていった。
「一緒にアンパンマン見るんだ。
たこ焼き食べるんだ。
ホットケーキを作ってもらうんだ。
あとコロッケも」
十三は感じた。
姉と同じことをやってほしいのだろうと。
「そっか。叶うといいね」
ちょっと変わった子だと思ったけれど。
どこにでもいる愛に飢えた子どもなのだ。
十三はそう思った。
「だってお姉ちゃんが、すごく勧めてくるんだよ」
その言葉で由香は少し変わった子かもと思い直した。
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