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Scene07 コインロッカーの女の子

165 新しいお父さん

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 武さんは、その日から毎日家にいた。
 ママは、仕事に出かけ。
 家には、お姉ちゃんと私。
 そして、武さんの3人だけ残る。

 武さんは、パソコンでお仕事をしているらしい。
 だから、ずっと家に居る。

 姉が泣いても無視。
 私が泣いても無視。

 ご飯も自分の分しか用意しない。

 私は、ママから貰った500円で昼ご飯を食べる。
 私のご飯は姉が用意。
 私のオシメも姉が交換。

 ミルクの作り方もオシメの変え方も上手になったよ。
 だから、パパ。
 早く帰って来て……

 姉は、そんな事を考えながらクリームパンをかじる。
 そして呟く。

「たまには、ママが作ったホットケーキ食べたいな……」

 でも、ママは朝も昼も夜も働いている。
 ママが、帰ってくるのは私が眠った後。
 ママが、仕事に出かけるのは私が目覚める前。

 ママが居ない毎日。
 ママと会えない毎日。

 ママ、私、寂しいよ……

 その日、私はいつものようにご飯を食べる。
 すると武さんが、姉の前に立つ。

「お前さ……
 父親の元に行きたいと思わないの?」

「パパとママの2人が、いい……」

「ふーん」

 武さんは、そう言うとパパが使っていた部屋に戻った。
 パパが使っていた部屋は、何故だか武さんが今使っている。
 パパが、帰って来たときパパの居場所がなくなる。
 でも、わかっていた。
 パパは、もう二度と戻ってこないことを。

 そう思うと涙が出た。
 悲しい涙が出た。
 大きな声を出して泣いた。

「なに泣いているんだ?
 うざいなぁー」

 武さんは、タバコを取り出しタバコに火をつけた。
 煙たい。
 ゆっくりと武さんの方を見た。

「なんか文句ある?」

 私は、首を横に振った。

「なんかさー
 俺、お前の顔を見ているとイラつくんだよね」

 武さんは、そう言うとタバコを姉に近付けた。
 そして……
 それを姉の右手に押し当てた。

「熱い!」

 私は、思わず叫んでしまった。

「うるさい!」

 武さんは、姉の頬を叩いた。

 1日、ひとつ。
 2日でふたつ。

 火傷の跡は、日に日に増えて行く。

 ママに会いたい。
 ママに会ってあの人を追い出してほしい。

 つらいよ。
 苦しいよ。

 気が付けば姉の身体は傷だらけだった。

 ママ、ママ、ママ。
 助けて。

 ある日曜日。
 ママが久しぶりにお休みを取った。

 姉は、体の傷に気付いてもらおうとママにいっぱい甘えた。

「ママ、一緒にお風呂入ろう!」

 私は、そう言ってママに甘える。
 だけど、ママは、首を横に振った。

「理香は、もうお姉ちゃんでしょ?
 お風呂くらいひとりで、入りなさい!」

 そう言って、由香の体を抱き上げる。

「由香、久しぶりにママのおっぱいあげるわね……」

 ママは、そう言って由香におっぱいをあげた。

 姉それを見ていた。
 じっと見ていた。

「理香どうしたの?
 そんなにママのことが気になる?」

 姉は、首を横に振った。
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