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Scene05 かなしみよこんにちわ

101 おにぎりパンの悪夢

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「なに?流石の私も傷つきすぎてチビリそうなんだけど?」

華織が涙目になる。

「先輩、これ美味しいです」

「なに?お姉さんを傷つけてそんなに……って?え?」

「八宮さん、これ美味しいよ」

「え?え?え?」

凰の言葉に華織の頭の処理が追いつかない。

「でもこれ……」

「これはね。
 ドライカレーをパン生地で包んで、油で上げたの!」

恋次と凰にはわかっている。
これがカレーパンなのだと。

でも思ったのだ。

おにぎりパンにゴールを見せたら……
もしかしたらおにぎりパンの悪夢から逃げれるのではないかと……

「マジで美味いぞ!
 このカレーパン」

突然現れた健士が言う。
恋次は生まれてはじめて人を殴ろうかと思った。

「カレーパン?」

華織の顔が鬼になる。
それはそれは怖い鬼に……

それは悲しみの世界。
それは絶望の世界。
それは恐怖のみが支配する世界。

「恋次君、凰君。
 お腹空かない?」

「あ、晩御飯の時間だ」

凰はそう言って逃げた。

「え?」

恋次は目を疑う。
なぜならそれよりも先に、健士がいなくなっていたからだ。

「今夜は寝かさないよ」

「……大人の世界?」

「いいよ。お姉さんが教えてあげる」

「え?」

「足腰が立たなくなるくらいおにぎりパンを作ってア・ゲ・ル!」

「いやあああああああ!!!」

恋次はその日生まれてはじめておにぎりパンでお腹を壊した。
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