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Scene01 そして異世界へ

09 会ってみないとはじまらない

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「まさかハウリングドラゴンがこんなに手強いなんて……」

クリスティーヌが涙目で言う。

「……手強い」

イチも目に涙を浮かべる。

「タベナイデー」

ハウリングドラゴンが愛らしい目で訴える。

「こんなの食べれない」

幼女の姿をしたハウリングドラゴン。
声まで美味しいハウリングドラゴン。

「とりあえず前歯折ろうか?」

ハデスがニッコリと笑う。

「折らないでーーー」

ハウリングドラゴンが涙目で訴える。

「うっさい」

ハデスはハウリングドラゴンを殴る。

「痛い……痛いよぅ」

ハウリングドラゴンが涙をこぼす。

「ハデス、容赦ないわね」

メルがため息を吐く。

「当たり前や。
 こんなおっさん」

ハデスがハウリングドラゴンを容赦なく素手で殴る。

「おっさん??」

アースロックが戸惑う。

「なんやアースロックくんにはこのおっさんが幼女に見えるんか?」

ハデスがニッコリと笑う。

「違うの?」

イチが言う。

「おっさんやで?」

ハデスがそういうとハウリングドラゴンがロリボイスで言う。

「なんだバレてるのか」

ハウリングドラゴンが舌打ちをする。

「そりゃそうやろ?クリスティーヌにどう見えているかはわからんけど。
 魔属性の存在からしてみればアンタの正体はバレバレや」

「人間じゃないのか?可愛いから美味しくいただろうと思ったのになぁ」

ハウリングドラゴンがケラケラ笑う。

「美味しくですか?」

クリスティーヌが笑う。

「まずは――」

「私は今、激おこなのですよ?」

ハウリングドラゴンの言葉を遮りクリスティーヌの目が光る。

「ならハニーキラー様から頂いたこの媚薬でたっぷりと――」

「媚薬?」

アースロックの眉がピクリと動く。

「……興味あるのかい?坊や。
 この薬があればどんなメスでも好きにできるんだぜ?」

「好きにできる」

アースロックの心が揺らぐ。

「アースロック?」

メルが心配そうにアースロックの方を見る。

「俺の味方になるのなら――」

アースロックはハウリングドラゴンを斬った。

「なぜ斬れる……?この幼女ボディーを」

「見た目はコドモ、頭脳はオトナ。
 お前みたいなやつが一番キライなんだ」

「クソが……」

「コイツ、本当に美味いんか?」

ハデスが首を傾げる。

「多分、歳を取りすぎてますね」

「クソが。なら一番弱そうなこの男を道連れにして!」

ハウリングドラゴンは、イチの首を爪で切り裂いた。

「あ!」

時の女神に動揺が走る。

イチの首から血が流れ。
ハウリングドラゴンの皮膚に数滴かかる。

「え?その程度?」

クリスティーヌは驚く。

逆にハウリングドラゴンの爪がボロボロになっている。

「イチ、なにしたん??」

ハデスが尋ねる。

「攻撃される前に爪をちょっと殴った」

「あ、クリティカルヒットってやつやな」

ハデスが笑う。

「ってかハデス先生。
 このおっさんのステ見てください」

メルが言う。

「なんや?急に敬語なんか使って」

ハデスはそう言いつつハウリングドラゴンのステータスを覗いた。
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