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08 イツワリのカガクシャ

70 王の間

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「ここは?」

白銀が尋ねる。
白銀の視野には大きな城が映る。

「テオス城だ」

アースベルガーが答える。

「シンプルな名前ですね」

「名称とはただの識別だ。
 わかればなんでもいいだろう?」

アースベルガーがそういうと白銀はうなずく。

「そうですね」

「では參ろうぞ」

アースベルガーが足を進める。
城の扉が開く。
音はない。
静かに開く。

城の中に入ったふたり。

そして中には複数の男女がいた。
白銀にはわかる。
ここにいる全てのものが強者だと。

「アースベルガー。
 そこにいる殿方が白銀かえ?」

白銀はその女の名前を知っている。
大淫婦バビロン。
露出度が高い服を着て魔力と同時にうっとりするようなフェロモンを放っている。

「クスクス。
 その人もかなり魔力が高いようだけど。
 この場にいて気負けしないかしら?」

紫色の服を着た侍風の少女がそういった。

「紫殿、この青年の名前は白銀。
 ここにいるものと強さだけなら負けてないですぞ?」

アースベルガーがそういうとサングラスをかけた男が笑う。

「まぁ、そりゃそうだろ?
 この場にいて息ができるんだからな」

「どういうことです?」

白銀がそういうと静かな魔力を持つ存在に気づく。
漆黒の王。
闇の魔王。
いろんなふたつ名を持つ魔王の中のひとり。

その名は、ベルゼブブ。

「……」

ベルゼブブはなにも言わない。
言わなくても強さが白銀には伝わる。

「ふぉふぉふぉふぉふぉふぉ」

そばにいる老人が笑う。
老人の名はフィサフィー。
悠久の支配者。モトフミの執事を務めている。

モトフミとはモトフミクライヌシノオオミカミの通称。
神々のひとり。
モトフミもまた静かに白銀の方を見ている。
そして笑みを浮かべる。

「ようこそ強き者よ。
 我らは主を歓迎する!」

モトフミがそういって手を叩く。
しずかなる空間に拍手の音のみが響いた。
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