芋洗THE係長の事件簿

07 誰がために鐘は鳴る。

誰がために鐘は鳴る。その7

――翌日・多摩月家


　亜金は、玉藻の実家に王次たちと共にやってきた。
　亜金たちは、玉藻の遺骨の前で手を合わせた。
　玉藻の父親が優しい目で亜金の方を見る。
「君が、亜金くんだね……？」
　玉藻の父親がそう言うと亜金は、小さくうなずいた。
「はい」
「ありがとう」
　玉藻の父親が、目に涙を浮かべて言った。
「え？」
「君が、あの子の呪いを食べてくれたんだろう？」
「あ……はい……」
　亜金が、うなずく。
「呪い？
　玉藻くんも呪い持ちだったのかい？」
　王次たちが、亜金の方を見た。
「はい。
　人から愛されないという呪いです……」
　亜金が、小さく答えた。
「あの日……あの子がはじめて笑ったんだ」
「え？」
「ずっと泣いていた子が、はじめて笑ったんだ……」
　玉藻の父親は、そう言って涙を流した。
　そして、言葉を続けた。
「そのあと、君はつらい思いをしただろう？」
「まぁ、それなりに……
　でも、俺の場合……不食があるのでそれでも嫌でも近づいてくる人はいましたよ」
「そうかい……」
　玉藻の父親は、小さくうなずいた。


　こうして、一連の事件が終わり特殊捜査班にも平穏が訪れた。